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2019 年度 実施状況報告書

新たな核医学治療に用いられる超微量元素アスタチンの新奇な分光分析法の開発

研究課題

研究課題/領域番号 18K05193
研究機関大阪大学

研究代表者

豊嶋 厚史  大阪大学, 放射線科学基盤機構, 特任教授(常勤) (40414578)

研究期間 (年度) 2018-04-01 – 2021-03-31
キーワードアスタチン / 揮発性化合物 / キャビティリングダウン分光
研究実績の概要

本研究では、極微量のアスタチン(At)分子の化学状態を測定できる新規な分析方法として、超高感度の分光分析法の開発に取り組む。放射性元素であるAtは扱える量が極めて少ないため、一般的な分光学的手法では測定できない。現在はクロマトグラフ法などの化学挙動から化学形が推定されているに過ぎない。そこで本研究では、超高感度分光分析法を新たに開発し、乾式分離精製法で得られる揮発性のAt化合物を世界に先駆けて同定することを目指す。
前年度にはAtの同族元素であるヨウ素分子のキャビティリングダウン測定を行った。一方、Atに対しては、乾式蒸留法で得られる種々の化合物の生成条件やそれらの揮発性についての情報が、単一のAt化合物を選択的にキャビティリングダウン測定装置に導入するのに必要となる。そこで当該年度は、熱ガスクロマトグラフ装置を用いて、乾式蒸留法で生成するAtの揮発性について実験的に調べた。
加速器を用いてBi標的にHeビームを照射し、放射性核種At-211を製造した。このBi標的を石英管に封入し、850℃まで加熱する事によりAtの揮発性化合物を生成した。反応キャリアガスとして乾式蒸留法に用いている酸素と窒素の混合ガス、酸素ガス、あるいは窒素ガスを用いた。気化したAt化合物を温度勾配をかけた石英クロマトグラフカラムに約45分間展開した後、CdTeZn検出器を用いてAt-211から放出されるX線を測定し吸着位置を決定した。その結果、ガスの種類によらず一定比で生成する化合物、酸素分圧によって生成比が増加する化合物、逆に減少する化合物が存在することがわかった。また、それぞれの吸着エンタルピーを決定する事ができた。今後、このデータに基づいて、キャビティリングダウン測定を行うAt化合物の生成条件や分離条件、分光装置への導入条件を決定し、キャビティリングダウン測定を行う。

現在までの達成度 (区分)
現在までの達成度 (区分)

4: 遅れている

理由

大阪大学に異動したため、分光実験に必要なレーザー照射装置や防振台の整備が遅れた。現在までにこれらを新たに購入し、現在光学系の整備に取り掛かっている。また、測定対象とする揮発性のAt化合物が、予想以上に多くの種類の生成物として存在している事がわかり、分光実験を行うためにはそれぞれの揮発性を詳細に調べる必要性が生じた。

今後の研究の推進方策

まず、大阪大学ラジオアイソトープ総合センターに、レーザー照射装置ならびに防振台を整備してキャビティリングダウン分光実験を実施できるようにする。これまでに、別予算によりレーザー装置と防振台を購入しており、今後は光学系の準備を行う。また、今年度行ったAt化合物の吸着エンタルピーから生成条件や分離条件を検討し、単一のAt化合物を選択的に分光装置に導入できるようにする。その後、微量の放射性ヨウ素(ヨウ素-131)を用いてキャビティリングダウン測定を行い、微量放射性元素への適用性を明らかにしたうえで、最終目標であるAtの分光実験に挑戦する。

  • 研究成果

    (1件)

すべて 2019

すべて 学会発表 (1件)

  • [学会発表] 気相At化合物の吸着温度の精確測定に向けた熱クロマトグラフ法の開発2019

    • 著者名/発表者名
      市村聡一朗、尾幡穂乃香、中川創太、寺本高啓、大江一弘、永田光知郎、豊嶋厚史、吉村崇、篠原厚
    • 学会等名
      日本放射化学会第63回討論会(2019)

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公開日: 2021-01-27  

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