研究課題
基盤研究(C)
プラスチックの変形時の構造変化を分子レベルで計測するレオ・オプティカル近赤外分光法の開発を推進した。従来のレオ・オプティカル近赤外分光では、引張によって機械変形が進む部位と近赤外光を照射しスペクトル計測を行う箇所が必ずしも一致しないために、測定の再現性の向上が求められていた。本研究では測定対象を局所的に加熱し、変形の起点となる箇所を生じさせることで計測の精度と確度の大幅な向上を達成した。本技術は各種の高分子に対して適用し、優れた機械強度の発現メカニズムの解明へと繋がった。
高分子分析
近年、高分子材料にナノサイズの粒子を添加させることで機能強化を図るナノ複合材料の開発が積極的に試みられてきた。これらは、ナノ添加物が高分子の機械的変形を阻害することで高分子の機械強度を高めていると考えられるが、引張試験中の高分子鎖の流動をリアルタイムで計測する方法は皆無であった。本研究で開発したレオ・オプティカル近赤外分光法はこのような動的変形を測定する唯一無二の計測技術であり、極めて多様なナノ複合材料の変形メカニズムが明らかにするのみならず、延いては、先端材料の開発の促進が期待される