研究実績の概要 |
種々あるゼオライトの細孔構造が2,6-ACMN選択性に与える影響について検討した。14員環とMOR(12員環)より大きな細孔を持つものは、選択性が悪かった。また、MORと同じ12員環ゼオライトでも、細孔構造の違いで2,6-ACMN選択性に差が出る事が分かった。その中でもAlPO系ゼオライトであるSAPO-5(AFI)が、良好な結果だったため、反応条件の最適化を検討した結果、MOR触媒の結果を超える転化率(96%)および2,6-ACMN選択性(87%)であった。MORゼオライトでは触媒の2回目以降の再利用では、著しい触媒の活性の低下が見られたが、SAPO-5ゼオライトは、触媒活性を維持したまま5回、再利用が可能であることを見出した。しかしながら、再現性を確認する事ができていない。2,6-ACMN選択性の向上を目的に、SAPO-5ゼオライトのコアシェル化を行った。シリカをシェル化した場合、非晶質シリカの生成を主に確認した。また、リン酸アルミニウムによるシェル化を試みたが、シェル化ではなく単独での結晶成長によるAlPO4-5の生成が主であり、触媒反応を実施しても活性および選択性の向上は認められなかった。 【新発見】触媒利用のため、AlPO系ゼオライトの合成過程において、従来法とは異なる手法で合成を試みたところ、新規ゼオライトを2種類得る事ができた。新規合成ゼオライトの発見は、ゼオライト科学において非常に大きな発見である。さらに、SAPO-5およびCoAPO-5ゼオライトからも、新たに新規多孔質結晶を2種類得る事ができた。このゼオライト科学会でディープインパクトな発見は、以降検討していく重要な課題として当研究室で行って行く予定である。
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