研究実績の概要 |
本研究課題は、桂皮酸エステル、カフェ酸エステルなどの非可食性バイオマスから誘導可能なβ位に芳香族置換基を有するα,β-不飽和カルボン酸エステル(含芳香族アクリルモノマー)の高効率、高選択的かつ高立体規則的な重合法を開発し、従来のアクリル樹脂(PMMA)の性能を凌駕する様な非可食性バイオマス由来の新規な高機能・高性能バイオベース含芳香族アクリル樹脂の合成技術を確立する事を目的とした。 (1) クロトン酸エステル、桂皮酸メチルおよびフェルラ酸エステルなどを用いて、収率90%以上かつ立体選択性80%以上で、重量平均分子量100 kg/mol程度の含芳香族アクリル樹脂を開発した。 (2) 得られた含芳香族アクリル樹脂について、主鎖骨格の立体規則性、熱物性、光学特性、機械特性及び、分解性の評価を実施し、主鎖骨格の立体規則性と各種物性との関係性について考察した。様々な重合条件により取得した脂肪族アクリル樹脂及び含芳香族アクリル樹脂の熱プレスフィルムを作成し、偏光顕微鏡観察により温度可変のフィルム観察を行い、結晶性や液晶性の評価を実施した。 (3) バイオマス由来の含芳香族アクリルモノマーと脂肪族アクリルモノマーを用いた共重合体を合成し、熱物性および機械特性の評価を実施した。反応速度論解析などを実施し、エステル置換基の違いやクロトン酸エステルとアクリル酸エステルの構造の違いなどについて、開始剤と触媒との関係性について評価を行った。
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