研究課題/領域番号 |
18K05211
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研究機関 | 岩手大学 |
研究代表者 |
芝崎 祐二 岩手大学, 理工学部, 准教授 (90323790)
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研究期間 (年度) |
2018-04-01 – 2021-03-31
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キーワード | ポリフェノール / 重合 / 抗酸化 / 抗菌 / アルブミン |
研究実績の概要 |
前年度までにポリアルブチンの合成、脂質導入、ミセルの形成、モルフォロジーの観察、抗菌特性までを検討し、計画通りの進捗であることを確認している。 残る課題は、上記ミセルへの薬物の導入と運搬、放出能力、抗酸化特性の評価、タンパク質のカプセル化、末端オキサジン化、ポリアミンとの共重合によるポリプレックスミセルの創製、DNAとの複合化である。 今年度は抗酸化特性、タンパク質のカプセル化、末端オキサジン化について検討を行った。その結果、ベータカロテン退色試験により、ポリアルブチンはポリフェノールとして抗酸化特性があることを確認した。 タンパク質とのカプセル化については、牛由来のアルブミンを用いておこなった。アルブミンは多くの有機化合物と相互作用することが報告されている。そこでエピガロカテキン、ケルセチン、アルブチン、ポリアルブチンを用いて相互作用を検討、相互作用箇所の解明を行った。その結果、ポリアルブチンは、ポリフェノールの中でもっとも強い相互作用をするケルセチンよりも強力に相互作用し、その力は分子量とともに増大することを明らかとした。ポリフェノールは通常、アルブミンのサイトIおよびIIのいずれかと相互作用する。一方、ポリアルブチンはその分子の大きさのため、どちらのサイトとも強力に主に疎水相互作用を行い、吸着していた。たんぱくがポリアルブチンで容易にコートされることは大変興味深い。今後、酵素を例にとり、抗酸化ポリフェノールで覆われた酵素がその機能を通常よりも過激な条件においても保持されることを証明したい。 最後に、ポリアルブチンの末端オキサジン化について検討した。その結果、ポリアルブチン、ホルムアルデヒド、フェネチルアミンを用いて高分子反応させることで末端のオキサジン化に成功した。このオキサジン環の開環重合により、熱硬化性ポリアルブチンの開発にも成功した。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
当初の計画通り、研究を進捗することができている。最終年度にむけて、計画以外の様々な疑問点、課題、興味深い研究テーマの発見につながっており、科研費のありがたさを実感している。研究はやってみなければわからないことが多くあることから、今後も当初計画を行いつつ、途上で見出された細かな発見にも目を配り、さらなる研究の発展につなげていきたい。
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今後の研究の推進方策 |
上記述べたように、残る課題は、ミセルへの薬物の導入と運搬、放出能力、ポリアミンとの共重合によるポリプレックスミセルの創製、DNAとの複合化である。すでに研究に着手しているが、コロナウィルスの影響で、現在、学生の多くが自宅待機となっている。 岩手県はウィルス感染者が出ていないのに、大学側が学生と職員に対して隔日勤務や自宅待機を要請することは納得できない。一人でも感染者が出ていればこのような措置は当然であるが、現段階では、勉強、研究をできる者はできない者の分も含めて真剣に取り組むべきであると考える。とにかく、最終年度の研究方針は変更ないが、このままの状況が継続した場合、研究は予定通り終了しないと考えます。
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