| 研究課題/領域番号 |
18K05213
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| 研究機関 | 東京工業大学 |
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研究代表者 |
石毛 亮平 東京工業大学, 物質理工学院, 助教 (20625264)
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| 研究期間 (年度) |
2018-04-01 – 2021-03-31
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| キーワード | 偏光蛍光発光 / リオトロピック液晶 / 全芳香族ポリイミド / せん断流動配向 / 含フッ素置換基 |
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| 研究実績の概要 |
高蛍光性を発現する全芳香族ポリイミド（PI）を高度に一軸配向することで，高耐熱性を有する偏光蛍光膜試料が得られると期待される．しかしPIは通常，溶媒に不溶かつ熱可塑性を示さないため，配向処理は前駆体状態でしか実施できない．種々のPI前駆体の中でもとりわけ，直線性の高いポリアミド酸エステルは濃厚溶液においてリオトロピック液晶性を示すため，分子鎖の配向を誘起する手段として最適である．本年度は蛍光発光性を示しつつ，前駆体状態で溶解性と高い分子の直線性を兼ね備えたPIの分子設計と新規モノマーの探索・合成を進めた．これまでの検討から，全芳香族PIを紫外線で励起した場合，電子供与性のジアミン部から電子受容性の酸無水物部への電子移動を伴う遷移，いわゆる電荷移動型（CT）遷移が生じ，このCT遷移は振動子強度が小さいために蛍光性に乏しいとされてきた．しかし，酸無水物部にビフタル酸無水物（BPDA）等を用い，ジアミン部へのかさ高い置換基の導入によりCT遷移を抑制することで，全芳香族でありながら高蛍光性のPIが得られることが報告されている．そこで，かさ高い置換基として，分子間力の低減と溶液の低粘度化が期待されるヘキサフルオロイソプロピル（HFA）基に着目し，新規の含HFAジアミンとBPDAを基盤とした新規のPI前駆体の合成を進め，さらに溶液の液晶性を調査した．さらに，偏光蛍光特性の精密解析に向けて，新たな顕微イメージング分光装置を立ち上げた．
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| 現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
かさ高い含フッ素置換基を有する新規ジアミンとビフタル酸無水物誘導体から，あらたに含フッ素全芳香族PI前駆体を合成することに成功した．この合成は，ジアミンと酸無水物の反応に基づく古典的な縮合反応であり，前述の置換基が水酸基を有するために副反応が懸念されたが，反応温度・時間を最適化することにより所望の前駆体を得るスキームを確立した．さらに，この前駆体溶液が液晶性を示すことを確認している．また，試料の蛍光発光の偏光特性の精密解析に向けて，新たに顕微イメージング分光装置を立ち上げた．装置は，オリンパス製BX-51顕微鏡の接眼鏡上部のポートに，特性の補強機構を設けた分光計器製のイメージング分光器CM-50TSを設置し，これに市販の高感度sCMOSカメラを検出器として備えた構成である．蛍光管の発光スペクトルを基準とした本年度の検討から，波長校正，湾曲補正法を確立した．
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| 今後の研究の推進方策 |
濃厚溶液における良好なリオトロピック液晶性が確認された新規含フッ素PI前駆体について，せん断配向試料の作製を進め，特に溶液粘度や温度に関して最適条件を絞り込む．また，イメージング分光計については本年度の検討から，装置固有の強い偏光特性が確認され，これを除去する対策を早急に進める必要がある．これについては，広帯域の円偏光子，または極めて大きい複屈折性を有する位相子によって偏光状態をスクランブルする方法を検討する．
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| 次年度使用額が生じた理由 |
イメージング分光器に関して，入念な検討の結果，当初予想していたよりもより簡易な機構で顕微鏡へと設置可能となり，必要経費を削減できたため残額が生じた．この残額は，来年度，広帯域円偏光子等の購入に充てる予定．
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