研究課題/領域番号 |
18K05228
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研究機関 | 山形大学 |
研究代表者 |
宮 瑾 山形大学, 大学院理工学研究科, 准教授 (30631759)
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研究期間 (年度) |
2018-04-01 – 2021-03-31
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キーワード | 結晶性ゲル / 蓄熱 / マイクロカプセル |
研究実績の概要 |
本年度の成果はC-gel MCの動作温度(相変化温度)を制御することに成功したことである。C-gel MCの動作温度は結晶の融点に依存するため、モノマーの分子構造を設計することで、融点が異なる7種類C-gel MCの合成に成功した。 示差走査熱量計(DSC)の結果により、合成したゲル粒子の融点が5~65 ℃の温度域にあり、我々人間が快適な生活を営むために最も消費されている0~70 ℃の中低温度域の熱の有効利用が可能な蓄熱材であることが確認できた。最もシャープな融点ピークをもつC-gel MCは、蓄熱能力の指標である潜熱量が最も高い値105 J/gを示し、高い潜熱蓄熱機能を有することがわかった。また、熱重量分析(TGA)の測定結果より、合成したC-gel MCは5%熱重量減少温度が300 ℃以上であり、優れた耐熱性も示した。 本研究で合成したC-gel MCは、芯物質漏洩の問題が存在しない高耐熱性を有する蓄熱材として、中低温度域の熱の有効利用への応用に期待が高まっている。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
計画通りに、異なる融点をもつ7種類のC-gel MCの合成ができた。 7種類のC-gel MCの融点を示差走査熱量計(DSC)で測定し、C-gel MCの動作温度が5~65 ℃の温度域にあることを確認できた。さらに、合成したC-gel MCの蓄熱能力と耐熱性を評価したところ、潜熱量が高い値105 J/gを示し、5%熱重量減少温度が300 ℃以上であることから、合成したC-gel MCは高い潜熱蓄熱機能を有することとともに、高い耐熱性をもつことが明らかとなった。 当初計画した高蓄熱能力かつ高耐熱性をもつC-gel MCの合成に成功し、研究は順調に進展している。
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今後の研究の推進方策 |
相変化潜熱蓄熱材は、物質の状態が変わる際に、吸収あるいは放出される融解熱や凝固熱などを利用して熱を貯蔵するため、新しい相変化潜熱蓄熱材を開発するにあたって、蓄熱量(潜熱量)はカギとなる性質である。今後は、C-gel MCの蓄熱量を追求するとともに、高蓄熱能力かつ高耐熱性をもつメカニズムを解明する。
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