本研究では、架橋点となる多官能性ジョイント分子と架橋点を繋ぐリンカー分子との付加反応により、ネットワーク構造に有機反応の触媒として機能する有機化合物の構造を導入したジョイント-リンカー型高分子モノリスの合成とその有機分子触媒への応用を検討する。 これまでの検討において、多官能チオール化合物/ジフェニルメタンジイソシアネート/アニリンの反応系でウレア結合を有するジョイント-リンカー型高分子モノリスを合成し、同モノリスを用いてモデル反応としてマロン酸エステルへのマイケル付加反応における触媒性能を評価し、反応が進行することを確認している。令和4年度は高分子モノリス触媒を用いたフローリアクターでの反応、高分子モノリス触媒の微粒子化を検討した。 高分子モノリス触媒をガラス管および耐溶剤性のチューブ内で作製し、モデルフローリアクターを調製した。同モデルフローリアクターに反応基質溶液を通液し、流出した溶液を分析したところ、反応物生成物が確認された。高分子モノリスのモルフォロジー(多孔質構造の形状,空孔粒子径サイズ)と送液挙動、反応率に相関が見られ、同条件下で比較した場合に粒子凝集構造のリアクターより三次元共連続構造の方が相液圧が低く、空孔粒子径サイズが小さいリアクターの方が反応率が大きくなる傾向が見られた。 水中液滴(O/W)エマルション法を用いて高分子モノリス触媒の微粒子化を検討した。粒子サイズは広いものの、反応条件によりモノリス粒子触媒の調製が可能であった。また、モノリス粒子触媒を用いても同様のマイケル付加反応が進行することを確認した。
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