研究実績の概要 |
米糠成分「myo-イノシトール」を原料として用い、本研究が目指す新規反応性ラダー高分子の合成にむけた検討を行った。今年度は、昨年度に引き続き、側鎖にヒドロキシ基をもつ反応性ラダー高分子の合成を行った。さらに、側鎖のヒドロキシ基とイソシアナートの反応による高分子反応を検討した。 昨年度の研究において、myo-イノシトールがもつ6つのヒドロキシ基のうち、2つをアセチル化し、残りの4つのヒドロキシ基をシリル化することで、ラダー高分子を合成するためのモノマーが得られ、これと2,3-ブタンジオンの重縮合反応によってラダー高分子が効率よく得られた。さらに、側鎖のアセチル基を除去するため、ラダー高分子に対して1級アミンを作用させることで、側鎖の脱アセチル化が進行することを見出していた。今年度の研究において、ラダー高分子の構造を詳細に検討した結果、アミンが主鎖中のアセタール構造とも反応することが明らかになった。そこで、脱アセチル化の方法を、アミノリシスからアルカリ加水分解に変えた。生成した側鎖にヒドロキシ基をもつラダー高分子は水溶性であったことから、半透膜を用いた透析によりラダー高分子を単離した。 さらに、得られたラダー高分子の側鎖のヒドロキシ基と、イソシアナートの反応を行った。フェニルイソシアナートやブチルイソシアナートとの反応はほぼ定量的に進行し、側鎖にウレタン基をもつラダー高分子が得られた。 以上の結果より、当初目的としていた、天然化合物myo-イノシトールを原料とする反応性ラダー高分子の開発に成功した。
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