本研究の目的は、再生シルクタンパク質から天然シルクの力学物性に匹敵する強く丈夫な繊維を人工的に紡糸するための技術を確立することである。最初に、様々な天然シルクの階層構造を詳細に解析し、それらに共通するフィブリル階層構造の詳細を定量的に解明することで、人工紡糸で目指すべき階層構造の指針を明確にした。次いで、フィブリル階層構造の形成過程を調べ、絹糸腺内部でのナノフィブリル前駆体・自己組織化形成とその集合化を定量的に捉えることに成功した。これら天然シルクの構造形成に関する知見を紡糸技術に模倣・取り込むことで、天然繊維の力学物性に近付ける紡糸技術の改善を得た。
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