近年、光機能性有機材料が注目されており、有機EL材料、色素感太陽電池などに応用されている。単量体では発現しなくてもエチニレンでπ共役系を拡張することによって、新たな光機能を発現することが期待される。本研究では、紫外部に強い発光を示すカルバゾールを連結させ環状にπ共役系を拡げることによって発光材料の開発を目指した。 はじめに、分子同士のスタッキングを防ぐため、カルバゾールの9位にトリメチルヘキシル基を導入した。その後、3位と6位をN-ヨードスクシンイミドを用いてヨウ素化し、ジヨードカルバゾールを合成した。さらに3位と6位にTMSエチニル基を導入し、TBAFにより脱保護することによって、ジエチニルカルバゾールを得た。ジエチニルカルバゾール同士を酸化反応により連結しブタジインで架橋したカルバゾール環状四量体を合成した。また、同じ手法で反応時間を調整することによって、カルバゾール直鎖四量体1を合成することに成功した。 カルバゾール四量体環状及び直鎖の吸収スペクトルを比較した結果、355nm付近の吸収帯の吸光度が環状構造で大きく増大した。蛍光スペクトルは440nm付近の蛍光強度が増大し、クロロホルム溶媒中のカルバゾール環状四量体に紫外線を照射したときに強い青色発光を示し、蛍光量子収率はカルバゾール直鎖四量体が15%なのに対し、カルバゾール環状四量体は24%と、1.5倍の値を示した。以上から強発光青色色素の合成に成功した。今後、二光子吸収特性の解明を目指す。
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