研究課題/領域番号 |
18K05259
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研究機関 | 滋賀医科大学 |
研究代表者 |
古荘 義雄 滋賀医科大学, 医学部, 教授 (00281270)
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研究期間 (年度) |
2018-04-01 – 2021-03-31
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キーワード | イオンー有機構造体 / 水素結合 / イオン結合 / 自己組織化 / ビグアナイド / リン酸 / ホスホロアミダイト |
研究実績の概要 |
本年度はビグアナイドに焦点を当てて研究を進めた。ビグアナイドは5つの窒素原子が2つの炭素原子で連結された強塩基性の有機団であり、カルボン酸やリン酸と強力な水素結合性イオン結合を作ることができる。我々はビグアナイド部位とリン酸エステル部位をあわせもつ繰り返し単位からなるオリゴマーが水素結合性イオン結合を介して多孔性で頑強な3次元ネットワーク構造(イオンー有機構造体:Ion-Organic Framework (IOF))を形成するのではないかと考え、そのモノマーとしてビグアナイド部位とホスホロアミダイト部位をあわせもつ化合物(1)を設計し、合成を行った。 まず、2-anilinoethanolの塩酸塩をジシアナミドナトリウムと反応させることにより、両端にヒドロキシ基をもつビグアナイド誘導体(2)を得た。2の片方のOH基をDMTr(ジメチルトリチル)基で保護し、もう一方のOH基をTBDMS(t-ブチルジメチルシリル)基で保護した化合物(3)を合成した。DMF中、当量のトリエチルアミンと触媒量のDMAPの存在下で、3を二炭酸ジ-t-ブチルと室温で24時間反応させることにより、ビグアナイドの2つの窒素原子をBOC(t-ブトキシカルボニル)基で保護した化合物(4)を得た。この反応においては環状ウレアが副生したのでシリカゲルクロマトグラフィーによる精製を行なった。最後に、MeOH中、フッ化アンモニウムで処理することによりTBDMS基を脱保護し、2-cyanoethyl diisopropylchlorophosphoramiditeと反応させてホスホロアミダイトとビグアナイド部位をあわせもつ化合物(1)を合成した。現在、1のオリゴマー化を検討中である。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
ビグアナイド部位とホスホロアミダイト部位をあわせもつ化合物(モノマー)の合成まで完了している。オリゴヌクレオチド合成で広範に使用されているホスホロアミダイト法をこの化合物に適用することによりビグアナイド部位とリン酸ジエステル部位を交互にあわせもつオリゴマーが合成できる予定である。
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今後の研究の推進方策 |
現時点までにアミジンとカルボン酸、グアニジンとリン酸ジエステルの組み合わせをもつ有機分子集合体の安定性を明らかしてきたが、“原子レベル”での精密な3次元構造の制御はまだ達成されていない。まず、ビグアナイドとリン酸ジエステルの組み合わせによる有機分子集合体を構築して、その物理化学的特性を明らかにする。これらの水素結合性イオン結合ユニットのリンカー部分を変化させた化合物を種々合成し、その集合体の安定性に及ぼす影響を調査していく必要がある。
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