研究課題/領域番号 |
18K05262
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研究機関 | 京都工芸繊維大学 |
研究代表者 |
山田 重之 京都工芸繊維大学, 分子化学系, 准教授 (10612252)
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研究期間 (年度) |
2018-04-01 – 2021-03-31
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キーワード | フッ素 / 液晶 / 発光 / キラル / 非共有結合 / 円偏光発光 |
研究実績の概要 |
本研究課題では,キラルな棒状液晶分子の円盤状超分子化に基づく分子設計を行い,液晶相変化による凝集構造制御を鍵とした電界円偏光発光分子の合成手法の開拓と確立を目的としている。2018年度には,らせん状凝集構造の形成を可能とするために,キラル液晶性の発現および非共有結合性サイトの導入した拡張π共役分子の創製を検討した。 1. キラルなアミノ酸を出発物質として,4~5段階の合成経路を経ることで,キラル中心を柔軟部位に有する拡張π共役分子の合成を達成した。得られたキラルπ共役分子の相転移挙動を評価したところ,予想通り,分子不斉に起因するキラルネマチック液晶性の発現が明らかとなった。さらに等方性液体から徐冷することにより,特異な三次元構造を有するブルー相の発現が観察された。また,発光特性を評価したところ,希薄溶液や結晶状態だけでなく,液晶相でも発光を示し,相転移による発光特性変化が観察された。以上より,今回開発に成功した分子はキラル液晶性発光分子として機能することを明らかにした。 2.非共有結合サイトとなるブロモテトラフルオロフェニル構造を分子末端に有するπ共役分子の合成も達成した。この分子も液晶性ならびに特異な発光特性(希薄溶液,結晶状態,液晶状態)の発現を観察し,それに加えて結晶-液晶相転移による発光挙動の変化も確認した。その結果,非共有結合サイトを有する拡張π共役分子が液晶性と発光特性を融合した複合機能材料となることを見出した。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
現在までに,キラル液晶性と発光特性を有するキラル液晶性発光分子の開発に成功した。この成功により,キラル液晶相を発現するためや発光特性を兼ね備えるための分子設計が可能となる。一方,発光性π共役分子構造への非共有結合サイトの導入も達成できた。以上の点から,本研究課題は「おおむね順調に進展している」と考えている。しかしながら,現在までに非共有結合の形成は観察できていないので,次年度にて非共有結合の形成を可能とするように努める。
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今後の研究の推進方策 |
研究計画の変更は予定していない。現在までに非共有結合の形成は観察できていないので,今後の推進方策として,はじめにハロゲン結合または水素結合を強固に形成可能な分子の探索を行う。例えば,強力な電子求引性官能基をハロゲン(ヨウ素)原子またはヒドロキシ基の隣接基とすることで,非共有結合形成能の向上が可能となる。そのため今後としてはフルオロアルキルまたはフルオロアリール基上にヨウ素またはヒドロキシ基を導入した類縁体の合成と非共有結合形成の確認を実施する。そうすることで,ハロゲン結合形成に必要な分子設計を獲得することができる。その後,今年度獲得したキラル液晶性の発現のための分子設計を組み合わせることで本研究での標的分子の創製が可能となる。
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