研究課題/領域番号 |
18K05263
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研究機関 | 香川大学 |
研究代表者 |
磯田 恭佑 香川大学, 創造工学部, 准教授 (20568620)
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研究期間 (年度) |
2018-04-01 – 2022-03-31
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キーワード | 電子ーイオン混合伝導 / 超分子化学 / 有機ラジカルアニオン / 電子アクセプター / クラウンエーテル / イオン認識 / 自己組織化 / 液晶 |
研究実績の概要 |
本研究では、電子およびイオン輸送部位を有する電子ーイオン混合伝導体の開発を目的としている。本年度は、昨年度とは異なる含窒素系π共役部位からなる分子の合成および物性評価を行った。本分子は、3回対称のディスク状のπ共役分子からなり、骨格内には窒素原子を導入している他に、クラウンエーテルとアルキル部位を導入している。本分子は、室温を含む広い温度範囲で自己組織的に液晶構造を形成することが分かった。また、ナトリウムやカリウム金属塩との複合化により、発光色を変化させることに成功している。これは、イオンとの複合化により分子の薄膜内での分子配列が変わることで、分子間相互作用が変化したためであると考えられる。その他に、π共役部位に含まれている窒素原子はLewis塩基として機能することから、酸分子などの複合化によっても発光色を変化させることが可能である。本研究成果は、学術論文において報告している。 その他に、上記ディスク状π共役分子に対してクラウンエーテル部位を複数置換した分子は、溶液中で様々な金属イオンを認識することでモノマーからダイマー状態を作り分けることができ、その発光色は水色から緑色へと変化可能である。この分子も、上記分子同様で酸分子の認識により発光色を変化させることが可能である。さらには、酸および金属イオンを添加する順番を変えることで、青色、緑色、黄色、橙色、紫色、桃色など様々な発光色を作り出すことが可能であることが分かっている。現在、投稿論文準備中である。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
1: 当初の計画以上に進展している
理由
これまでに、本研究に関する結果は、国際学術論文2報にて報告している。今後も少なくとも1報の報告は可能である。その他に、本研究に関連する分子を用いた新たな材料開発により、いくつかの学術論文を報告しており、当初の目的以外の研究展開が行えている。
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今後の研究の推進方策 |
使用するπ共役部位への化学修飾や分子骨格を変更することで、電子アクセプターまたは電子輸送性材料としての特性の向上させる。また、アルキル部位を導入することで、自己組織化特性を調整するとともに、室温を含む広い温度範囲で液晶構造の形成を目指す。さらに、クラウンエーテル部位のサイズ変更やイオン認識部位の構造を変えることで、より優れた特性を有する分子の探求を行っていく。
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次年度使用額が生じた理由 |
COVID-19により、当初予定していた学会発表のための旅費の分が使用できずに、繰越となった。
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