研究課題/領域番号 |
18K05273
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研究機関 | 大阪大学 |
研究代表者 |
原田 隆史 大阪大学, 太陽エネルギー化学研究センター, 技術専門職員 (00379314)
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研究期間 (年度) |
2018-04-01 – 2022-03-31
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キーワード | 中空粒子 / 有機金属錯体 / 内包粒子 |
研究実績の概要 |
有機金属錯体は中心金属と有機配位子の構造を精密に制御することで、目的とする化合物を高収率、高選択的に合成することができる非常に優れた触媒である。しかしながら、触媒の回収・再利用に手間がかかるという点が課題としてあげられる。そこで本研究では、有機金属錯体のもつ特性を維持したまま、回収・再利用が容易となるように、中空状の粒子に内包した新奇なカプセル型構造体の合成を目指した。このような構造体とすることで、中空粒子の細孔や表面物性とを組み合わせた新たな機能の開拓を目指している。本研究が達成できれば、従来の有機金属錯体の再利用性の向上やプロセスの簡略化の観点だけではなく、現在は不均一系触媒が用いられている反応系に活性や選択性の高い有機金属錯体を利用することも期待できる。 前年度の検討で中空粒子の細孔からの有機金属錯体の溶出が懸念されたため、本年度は熱処理やポスト処理による細孔制御とは別の細孔を閉塞する検討を試みた。しかしながら、中空内部への取り込みの確認には至っていない。洗浄処理やドライアップなどの時に中空内部から溶出していると考えられる。これまで2つの異なるアプローチによる検討を進めてきたが、これらの手法以外での検討を進める必要性があると判断し、結晶性の有機金属錯体をコアとして中空構造を形成することを考え検討を進めている。文献をもとにフタロシアニンを骨格とする粒子の合成し、中空構造の鋳型として使うことで、中空内部からの溶出が少ない構造体の合成を検討していく。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
4: 遅れている
理由
これまで有機金属錯体を中空粒子に内包させたカプセル型構造体の合成法の確立を目指して、2通りの手法を並行して研究を進めてきたが、想定よりも合成法の確立に手間取っている。前年度の検討から中空内部からの溶出が懸念されたため、中空粒子の細孔を閉塞する検討、リンカー部位の導入なども試みたが、中空内部での有機金属錯体の合成には至っていない。目的生成物の合成ができなければ他の検討課題にも進めないことから、当初予定していた計画からは遅れている。
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今後の研究の推進方策 |
これまでに、2つの異なるアプローチから有機金属錯体を内包した中空粒子の合成に取り組んできた。しかしながら、どちらの手法においても中空粒子は確認できるものの、目的物質は得られていない。そこで、新たに結晶性の有機金属錯体をコアとして作成する手法の検討を進めており、本手法による有機金属錯体を内包した中空粒子の合成法の確立を目指し、早期に触媒活性の評価へとつなげて行く。
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次年度使用額が生じた理由 |
新型コロナウィルスによる影響により、研究活動が制限されたことで予定していた実験の進捗に遅れが生じ残額が発生した。次年度に研究期間を延長することで予定していた実験を行い、予算を執行する。
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