研究課題/領域番号 |
18K05279
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研究機関 | 東京理科大学 |
研究代表者 |
鈴木 孝宗 東京理科大学, 研究推進機構総合研究院, 講師 (10595888)
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研究期間 (年度) |
2018-04-01 – 2021-03-31
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キーワード | 無機工業化学 / セラミックス / ナノ材料 / 多孔体 / マルチフェロイック |
研究実績の概要 |
既報のゾルゲル法を用いたチタン酸ユウロピウムの作成方法に、申請者が既に手法を確立している両親媒性界面活性剤のミセルを有機鋳型として用いるsoft-template法を組み合わせることで、メソ細孔構造を有するチタン酸ユウロピウム薄膜を作製する手法の確立を目指した。 出発原料としては既報を参考に酸化ユウロピウム粉末とチタンテトライソプロポキシド(液体)を選択した。酸化ユウロピウム粉末を硝酸に溶解した後、化学量論に基づいた量のチタンテトライソプロポキシドを加えることでチタン酸ユウロピウムの合成を行った。また、有機鋳型となる界面活性剤を含む溶液を添加し、前駆溶液を作成した。作成した前駆養液をシリコン基板上に滴下した後、スピンコート法により成膜した。次いで電気炉を用いて800℃で焼成を行い、界面活性剤の除去と骨格結晶化を行った。 透過電子顕微鏡により作成した薄膜の構造観察を行ったところ、想定していたナノ細孔構造が形成されていることが確認できた。しかしながら、薄膜X線回折測定を行ったところ、チタン酸ユウロピウムに起因する回折ピークは現れず、出発原料である酸化ユウロピウムに起因する回折ピークしか現れなかった。このことから、酸化ユウロピウムとチタンテトライソプロポキシドとの反応が不十分であったことが示唆された。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
初年度では多孔性チタン酸ユウロピウム薄膜の作成手法を確立する予定であった。これまでの研究で、多孔性構造の作成には成功した。その一方、前駆溶液作成時における化学反応が不十分であり、細孔骨格が原料物質のチタン酸ユウロピウムのままであったため。
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今後の研究の推進方策 |
まずはチタン酸ユウロピウムの合成を早急に実現する。既報では酸化ユウロピウムをユウロピウム源としていたが、チタン源と同じアルコキシドであるトリ-i-プロポキシユーロピウムもユウロピウム源として検討する。 チタン酸ユウロピウム合成が実現したら、メソ多孔性薄膜の作製を行い、マクロスコピックな物性評価(薄膜全体の強誘電性、強磁性評価)に取り組む。
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次年度使用額が生じた理由 |
申請時当初、スピンコーターは購入する予定であたったが、所属研究機関の共通機器を使用できることとなったため、購入する必要がなくなった。また、強誘電性・強磁性の評価用に分析機器使用料を計上していたが、サンプル作成に時間がかかり、分析機器の使用まで至らなかったため。
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