研究課題
基盤研究(C)
価電子帯がスズ(Sn)の5s軌道、またはビスマス(Bi)の6s軌道から構成される新しいp型酸化物半導体について、その正孔と電子の生成機構を明らかにするとともに、p型伝導発現をもたらす特徴的な結晶構造を明らかにした。その結果、正孔は結晶構造中の八面体の中心元素をより価数の小さな元素で置換した欠陥により生成していること、酸素が欠損した欠陥により作られた電子によって正孔が補償されてしまうこと、そして酸素欠損欠陥の生成のしやすさに結晶構造が大きく影響していることを明らかにした。
無機材料
酸化物の特徴的な電子構造に起因し、実現が難しかった高移動度が期待できる新しいp型酸化物半導体について、結晶構造を切り口としてキャリア生成と電荷補償のメカニズムを明らかにしたものである。この物質群は研究代表者がp型化に初めて成功したものであり、上記メカニズムの解明と合わせて学術的に独創性が高い。また本成果は新らしい関連材料の探索や特性向上に寄与するものであり、地球上で安定かつ豊富に存在する酸化物をつかった電子デバイスの実現につながるものである。