研究課題
本研究では,固体高分子型燃料電池空気極用触媒創製のための焼成前駆体としてカルボキシ基含有金属フタロシアニンおよびアミン化合物とのアミド結合形成に よる複合体形成を行った後,得られた複合体を焼成することによりπ電子共役系が拡張された金属担持型炭素系触媒の創製を行い,その触媒活性評価を行った。すなわち,カルボキシ基含有金属フタロシアニンとジアミン芳香族化合物を用いて,直接重縮合法によるアミド結合形成反応を行い,金属フタロシアニン複合体を合成した。得られた金属フタロシアニン複合体を石英管中に静置し,セラミクス電気管状炉を用いて水素あるいは窒素気流中で焼成することにより,金属担持型炭素触媒を得た。また,異なる金属を含有する金属フタロシアニン誘導体を合成し,これらを用いて異種金属含有複合体を合成し,さらに,水素あるいは窒素気流中で焼成することにより,異種金属含有金属担持型炭素触媒も得た。触媒活性に及ぼす要因は,1.触媒中の窒素含有量,2.焼成前駆体の耐熱性,および3.触媒中に含有される金属種であることが推察され,高活性の触媒を得るためには,高い窒素含有量を有する高耐熱性の焼成前駆体を合成することが有効であることがを明らかとなった。コバルトおよび銅を有する異種金属含有金属担持型炭素触媒の活性評価から,異種金属による協働効果は確認することができず,コバルト含有量に触媒活性が依存することも明らかとなった。さらに,コバルトおよび銅を有する金属担持型炭素触媒に王水処理を行うことにより,金属を脱離させ,触媒の表面積の拡大,それに伴う炭素-窒素結合部位の増加,さらに金属の有無が酸素還元活性に及ぼす影響について検討したところ,金属脱離による表面積の増大よりもコバルトを含有することが触媒活性の増大に寄与していることも明らかとなった。
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Trans. Mater. Res. Soc. Jpn.
巻: 46 ページ: 53-56
10.14723/tmrsj.46.53