研究課題
Niマイクロメッキ接合による太陽電池インターコネクター接合技術:太陽電池のインターコネクターは主として、シリコンと鉛ハンダと銅の3層構造で形成されている。鉛ハンダはセルのシリコンと熱膨張差が大きく、熱疲労による劣化やハンダの腐食による電気抵抗の増加などの欠点がある。それに代わる、Niマイクロメッキ接合による太陽電池インタコネクター接合技術の長期信頼性の検討をおこなってきた。昨年度までには、ニッケルマイクロメッキ接合のマイクロストラクチャーの制御について検討を実施した。2019年度は、主としてニッケルマイクロメッキ接合の長期信頼性の検証のために、ニッケルと銅の接合の長期疲労寿命を、従来のはんだ接合と比較した。銅試験片にNiマイクロメッキを両面メッキし、比較実験として、同じ銅試験片にハンダを両面ディップし、共振型疲労試験を行った。結果は、室温下(25 ℃)、メッキの疲労限は0.729 mmであり、ハンダの疲労限0.603 mmに対し、疲労強度を約2.2倍示した。高温下、メッキの試験温度がハンダより100 ℃高いにもかかわらず、疲労強度はハンダの約4.3倍を示した。つまり、メッキ接合の長期信頼性はハンダを遥かに上回ることがわかった。共振型疲労試験の続き、SEMによる疲労した試験片の断面および破面観察を行った。結果から見ると、室温に比べて、高温実験のき裂進展はメッキの方は大きく変化がなかったことに対し、ハンダは複数のき裂が見られた。これはハンダの中で、クリープとカーケンドール効果が生じたと考えられる。また、 EBSDによる観察の結果、NiマイクロメッキはY方向で<101>と<100>の柱状晶であり、250 ℃でアニールしても柱状晶を保つことができ、耐熱性に優れていることがわかった。
2: おおむね順調に進展している
組織制御、信頼性評価など基盤研究としての項目は順調に進捗している。動作確認などの実デバイスでの評価については、試験材料の準備を含め、検討を進める。
基盤研究としての接合部組織制御、信頼性評価は完了し、本技術の優位性は明らかになってきているが、今後は、実デバイスへの適用と動作確認を実施したい。Si素子とのインターコネクションには、下地処理が必要であり、下地との接合信頼性を含めて、従来法との比較評価を行う。また簡易的に動作確認を行い、大型パネルでの実用性の研究開発への計画を立案する。
接合実験用の基板モジュールについては、企業からの無償提供があり、消耗品などの費用計上が予定を下回った。また購入パネルについて、予定していたが、次年度に繰り延べとなった。また人件費予定していた要員が、助手になったため、大学院生の研究補助費として使用した。次年度には、大学院生の補助費と増額し、評価を加速する予定。
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