研究実績の概要 |
本年度は,1)氷表面の第一原理計算,2)金属電極表面(Al(100)面, Ag(100)面)のQuantum Espresso(QE)コード(https://www.quantum-espresso.org/ )を用いた第一原理計算,3)金属電極帯電表面(Al(100)面, Ag(100)面)の第一原理計算としてQE+ESM(Effective Screening Medium有効媒質理論)法をもちいて金属|真空界面での電位分布を求めた。さらに,4) NaCl電解質水溶液|Al(100)電極帯電界面とRISM(Reference Interaction Site Model)積分方程式を結合させた第一原理計算(QE+ESM+RISM)計算を行い,電極から沖合へのイオン分布を求めるところまで完了した。ただし,計算は濃度は1点(1 mol dm-3)で正に帯電した電極の電位もある一定の条件でしか計算できなかった。すべての計算は,産総研の大谷らが作成したコードを用いた。1), 2), 3)ではこれまで報告された理論計算とよく一致し,本研究での計算が正確に求められていることを確認した。4)では,多くの帯電状態や多くの電解質濃度での計算はできなかったが,正に帯電した電極表面からのナトリウムイオンおよび塩化物イオンの動径分布関数を求めたところ,物理的に意味のある結果となった。実験結果と比較するには,多くの帯電状態(電位)および多くの電解質濃度について求める必要があるが,3)の計算で,その計算結果を解釈するところで多くの検討を重ねたため,本年度はそこまで到達しなかった。
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