研究課題/領域番号 |
18K05323
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研究機関 | 兵庫県立大学 |
研究代表者 |
高田 忠雄 兵庫県立大学, 工学研究科, 准教授 (60511699)
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研究期間 (年度) |
2018-04-01 – 2021-03-31
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キーワード | DNA / ペリレンジイミド / ポルフィリン / チアゾールオレンジ / 化学センサー |
研究実績の概要 |
DNAは配列情報に基づく自己組織化能を有し、官能基導入や分子修飾による化学修飾が可能であることから、機能性材料やナノ構造体を構築するための生体分子材料として近年注目されている。本研究では、DNA構造をテンプレートとして多様な機能性分子を集積した機能性人工DNAの開発と光機能材料としての応用を目的として、1) DNAを構造テンプレートに利用した機能分子集積体の構築法の開発、2) 優れた光電子移動特性・発光性を示す光機能性DNAナノ構造体の構築と物性評価、3) DNA自己組織化を利用した集積体の配列制御と光デバイス作製とその特性評価に関する研究を行なった。 機能性色素をDNAのスタック構造内に導入する方法として、dU塩基除去反応によって生じるabasic site (AP)を反応活性部位とした還元的アミノ化反応を用いた。dUを持つDNAを合成し、dUをAPに変換する酵素UDGで処理し、NaBH4の存在下、アミノ基を有する機能性色素と反応させることで、目的の分子を位置特異的に導入した修飾DNAの合成を行なった。色素としてペリレンジイミド、ポルフィリン、チアゾールオレンジを選択し、アミノ基を持つ誘導体を合成し反応に用いた。いずれの分子も良好な反応効率でDNAに導入可能であることが分かった。次に作製したDNAの発光特性を調べた。チアゾールオレンジを持つDNAは、一本鎖では発光をほとんど示さないのに対し、二本鎖を形成すると発光が100倍ほど増加することが分かった。またチアゾールオレンジを二個連続して持つDNAでは、二本鎖形成によって長波長にシフトしたエキシマー様の発光を生じることが分かった。標的核酸の存在によって、発光変化、発光波長変化を示すことが実証され、蛍光プローブとして有用であることが分かった。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
当初の計画通り、酵素反応を利用することで、DNA内部への機能性色素の高効率な導入が可能であることが分かった。また、作製した機能化DNAが期待通りの発光性、光電子移動特性を示すことが分かった。
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今後の研究の推進方策 |
引き続き、様々な機能性色素を導入した修飾DNAの合成を行う。発光性変化を利用した蛍光核酸プローブの性能の向上、また光電子移動性を持つDNAを電極デバイスへ固定した光バイオセンサーとしての応用性について評価を行う。
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次年度使用額が生じた理由 |
購入を予定していたサーマルサイクラーを別の装置で代用することで購入が不要になった。また、サンプル作製に必要なDNA合成試薬の使用量が想定よりも少なく、本年度に追加購入する予定である。
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