研究課題/領域番号 |
18K05327
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研究機関 | 宇部工業高等専門学校 |
研究代表者 |
廣原 志保 宇部工業高等専門学校, 物質工学科, 教授 (70413804)
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研究分担者 |
小幡 誠 山梨大学, 大学院総合研究部, 准教授 (70343267)
小倉 俊一郎 東京工業大学, 生命理工学院, 准教授 (90343160)
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研究期間 (年度) |
2018-04-01 – 2021-03-31
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キーワード | がんセラノスティクス / 機能性色素 / 高分子ポリマー / 色素内包高分子ミセル / 水溶性 / がん集積性 / がん治療効果 |
研究実績の概要 |
我が国は超高齢化社会に向かっており、それに伴いがんによる死亡率が増加し、深刻な問題となっている。そのため完治可能な期間での早期がん発見を行い、がん発見と同時に低侵襲でかつ非観血的にがんを治療するがんセラノスティクスの創成が求められている。本研究では、共同研究者である山梨大学の小幡が開発した高分子ポリマーにがん予防能、がん診断能またはがん治療能を有する機能性色素を内包した高分子ミセル体を合成した。これらの機能性色素を内包した高分子ミセル体に対し、がん予防薬、がん診断薬またはがん治療薬としての性能評価を行った。加えて、がん予防ーがん診断薬、がん診断ーがん治療薬 すなわちセラノスティクス薬剤としての性能評価も行った。 合成では、用いる機能性色素のstock solutionの溶媒の種類、濃度を調整することで得られる高分子ミセル体の色素内包量を調整できることを見出した。またこれらは色素の種類で、適切な溶媒の種類、濃度がわることも分かった。得られた機能性色素内包高分子ミセル体について、がん細胞株を用いた細胞毒性試験を行った。その結果、用いる高分子ポリマーの種類と色素の種類・濃度の組み合わせ次第で、高分子ミセル体自身の細胞毒性の有無が決まることが分かった。またセラノスティクス能を有する色素を内包した高分子ミセル体は、in vitroで高いがん診断能とがん治療能を示し、今後のセラノスティクス薬剤として期待できることも見出した。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
1: 当初の計画以上に進展している
理由
共同研究者の小幡が開発した高分子ポリマーを用いることで、簡単に機能性色素を導入した色素内包ミセル体の合成に成功しているため。また合成した化合物について、PDD,PDTだけでなくBNCT試験の予備試験も行い、薬剤の設計指針も立っているから。
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今後の研究の推進方策 |
色素内包高分子ミセル体の安定試験(培地、温度、日数等)を行う。 昨年度のin vitroの結果をもとに、最適な色素、高分子ポリマーの種類、薬剤濃度等の最適化を行う。開発した機能性色素を内包した高分子ミセル体に対し、がん予防薬、がん診断薬、がん治療薬またはセラノスティクス薬剤としての性能評価も行っていく。
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