研究課題/領域番号 |
18K05331
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研究機関 | 東京農工大学 |
研究代表者 |
櫻井 香里 東京農工大学, 工学(系)研究科(研究院), 准教授 (50447512)
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研究期間 (年度) |
2018-04-01 – 2021-03-31
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キーワード | 標的タンパク質探索 / 化学プローブ / 金ナノ粒子 / ラベリング |
研究実績の概要 |
標的タンパク質探索技術の開発は、医薬品および候補化合物の作用機構の分子基盤を明らかにするため重要である。従来の標的タンパク質探索法ではタンパク質―リガンド間のアフィニティーを利用する手法が多いが、低発現タンパク質、低親和性タンパク質や膜タンパク質の同定は特に困難であり、タンパク質探索の網羅性が低いという技術的課題である。本研究では、金ナノ粒子を探索プローブのスカフォルドとして利用し、multivalent効果と金ナノ粒子固有の特性を活用することで、従来法では不可能だった効率的タンパク質ラベル化反応を開発する。さらに、ワンポットでのラベル化と濃縮精製を可能とする一般性の高い技術の確立を目指した。R2年度においては、モデル系生物活性分子リガンドと種々のラベル化剤を金ナノ粒子に修飾したアフィニティーラベリングプローブを新たに合成し、既知標的タンパク質を用いて機能解析を実施した。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
今年度は当初計画に基づいて以下の2つの具体的目標の実現を目指し、①に関してはR1年度までに合成したプローブに加えて新たに4種のラベル化剤を組み合わせた金ナノ粒子プローブを合成し、②においてラベル化剤の反応性の解析を達成した。また、③に関して、既知標的タンパク質を用いた反応性部位解析、および細胞抽出液を用いた標的タンパク質探索の初期検討を行い、探索条件に関する知見を得た。 ①金ナノ粒子アフィニティープローブの設計・合成 ②タンパク質のアフィニティーラベリング反応の開発 ③金ナノ粒子アフィニティーラベリングを応用した標的タンパク質解析
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今後の研究の推進方策 |
R2年度は、当初計画の具体的目標②および③に基づいて、金ナノ粒子プローブを用いたタンパク質の効率的なアフィニティーラベリング反応の開発に向けて、反応効率解析および標的タンパク質解析を目指す。標的タンパク質解析においては、既知標的タンパク質や細胞抽出液を用いてアフィニティーラベリング反応を行い、光反応基と求電子基からなるラベル化剤における反応効率と選択性を比較解析する。これにより、先行研究であるフォトアフィニティーラベリング法に対するアフィニティーラベリング法の優位性を評価する。また最適なラベル化剤を用い、アフィニティーラベリングによる標的タンパク質探索を実施する。さらに、求電子基ラベル化剤により標的可能なタンパク質残基を明らかにし、金ナノ粒子アフィニティーラベリングの一般性を検討する。
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次年度使用額が生じた理由 |
R元年度は、購入予定だった消耗品を購入せずに研究できたこと、また出張がキャンセルになったために次年度使用額が生じた。 R2年度はタンパク質シークエンス委託解析費用(その他経費)が当初予定額を超えることが想定されるため、次年度使用額を充当する。
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