研究課題
基盤研究(C)
活性窒素種による神経細胞傷害は、アルツハイマー病やパーキンソン病などの神経変性疾患との関連性が知られている。活性窒素種による神経細胞傷害から細胞を保護する小分子化合物を真菌の二次代謝産物中から探索し、新規化合物であるpestalotioquinol Aを発見した。さらに、この化合物は過酸化水素などの活性酸素種に対しては保護効果を示さず、活性窒素種に対して特異的に細胞保護作用を示すことが明らかになり、ユニークな作用機序をもつことが示唆された。
ケミカルバイオロジー
アルツハイマー病やパーキンソン病などの神経変性疾患は、多くの場合老化と共に発症する難病であり、高齢化社会において深刻な問題となっている。活性窒素種は神経変性疾患だけでなく炎症性疾患などとの関連性も知られており、本研究により見出されたpestalotioquinol Aはこれらの治療薬への応用も期待できる。また、この化合物は活性窒素種特異的な保護作用を示すというユニークな作用をもつことから、今後詳細な作用機序を解析することで、活性窒素種に対する細胞傷害機構・防御機構の解明につながる可能性がある。