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2018 年度 実施状況報告書

モリアオガエル泡巣(卵塊)の精密解析:泡立ち機能成分の同定・最適化

研究課題

研究課題/領域番号 18K05346
研究機関和歌山県立医科大学

研究代表者

茂里 康  和歌山県立医科大学, 医学部, 教授 (90357187)

研究分担者 上垣 浩一  近畿大学, 農学部, 教授 (00356544)
絹見 朋也  国立研究開発法人産業技術総合研究所, 物質計測標準研究部門, 主任研究員 (90293125)
稲垣 英利  国立研究開発法人産業技術総合研究所, バイオメディカル研究部門, 主任研究員 (90344126)
研究期間 (年度) 2018-04-01 – 2021-03-31
キーワード泡巣 / タンパク質 / 質量分析 / トランスクリプトーム解析 / エドマン分解 / LC-MS/MS / RNA
研究実績の概要

4月~7月にかけての日本の風物詩の一つで、都道府県指定の天然記念物にもなっている、モリアオガエルの泡巣の形成メカニズムを解明するために、モリアオガエルの泡巣を採取した。精子との混入を防ぐために、産卵直前のお腹が大きくなったメスを隔離し、水槽やバケツ等に入れておいた。運良く一匹のモリアオガエルのメスが、自然に産卵し、精子の含まない卵と泡巣の両方のサンプルを獲得できた。泡巣は、マイクロチューブ、試験管、スパーテル(ステンレス)にくっつくが、まとまって剥がせる事ができた。粘張油物やアメ状の物質と違い、とても不思議な素材であった。泡巣サンプルをアミノ酸分析を実施するために、6 M塩酸を加えたが、全く溶解しなかった。加水分解後、薄い褐色の溶液になったが、糖の加水分解と異なり、加熱による褐変現象は見られなかった。おおよそのタンパク量を計算したところ、泡の重量(wetな状態)の約4%ぐらい含まれていた。アミノ酸分析の結果、Asp 139, Thr 74, Ser 65, Glu 124, Gly 100, Ala 44, 1/2Cystine 64, Val 56, Met 16, Ile 66, Leu 79, Tyr 45, Phe 38, Lys 100, His 20, Arg 23, Pro 57(トータルのアミノ酸残基を1000個として換算させた数値, Asn→Asp、Gln→Gluとして検出、Cysは、1/2Cystineとして計算、Trpは塩酸加水分解により分解)であった。さらに泡巣をMALDI-MS分析したところ、4254, 7110, 9741, 14220等のm/zのピークが検出された。LC-MS/MS分析を行ったところ、3610, 12602, 17706, 17823, 19525等のm/zのピークが検出された。またSDS-PAGEに泡巣を供したところ、複数のタンパク質のバンドが検出された。

現在までの達成度 (区分)
現在までの達成度 (区分)

4: 遅れている

理由

昨年5月に国立研究開発法人・産業技術総合研究所から和歌山県立医科大学・医学部に異動した。各種機器の移設等や日頃の教育活動に時間を費やされており、本研究課題の遂行が遅れている。約一年が経過して、備品の移設等が一段落ついたので、研究加速を実施するつもりである。

今後の研究の推進方策

繁殖期である4月から5月に里山に降りてくるモリアオガエルを捕獲し、輸卵管付近の組織を採取し、RNAの抽出を実施する。一方精子との受精前の泡巣を再度採集し、LC-MS分析、エドマン分解等を実施し、タンパク質の本体を明らかにしたい。採集するモリアオガエルはもちろんメスで、産卵前、あるいは産卵直後、産卵後捕獲飼育したモリアオガエルを採集し、その発現解析を行う。それ以外にもモリアオガエルメスの各臓器の分離、各組織からのRNAの抽出等を行う予定。一方泡巣に関しては、直接SDS-PAGEした結果、いくつかのタンパク質が検出されており、LC-MS/MS、エドマン分解を詳細に実施し、部分ペプチド等の配列解析やヘリカルホイールプロット解析を実施し、両親媒性の有無の確認を実施する予定。

次年度使用額が生じた理由

昨年5月に国立研究開発法人・産業技術総合研究所から和歌山県立医科大学・医学部に異動した。当該研究に利用する備品や既に収得していた消耗品等の移設に時間を費やし、当該研究に遅れが生じたため、予算執行が遅れ、次年度使用額が生じた。またモリアオガエルのメスの産卵時期が4月末から梅雨時期の前であることから、モリアオガエルの泡巣の採集に成功した後に、研究加速を行う予定である。

  • 研究成果

    (4件)

すべて 2019 2018

すべて 雑誌論文 (2件) (うち査読あり 2件、 オープンアクセス 2件) 学会発表 (1件) 産業財産権 (1件)

  • [雑誌論文] Mass spectrometry analysis and biological characterization of the venom and venom sac components of the predatory ant Odontomachus monticola.2019

    • 著者名/発表者名
      Tani, N., Kazuma, K., Ohtsuka, Y., Shigeri, Y., Masuko, K., Konno, K., Inagaki, H.
    • 雑誌名

      Toxins

      巻: 10 ページ: E50

    • DOI

      10.3390/toxins11010050.

    • 査読あり / オープンアクセス
  • [雑誌論文] Lipid nanodisc formation using Pxt-5 peptide isolated from amphibian (Xenopus tropicalis) skin, and its altered form, modify-Pxt-5.2018

    • 著者名/発表者名
      Ikeda, Y., Taira, T., Sakai, K., Sakai, H., Shigeri, Y., Imura, T.
    • 雑誌名

      J. Oleo Sci.

      巻: 67 ページ: 1035-1041

    • DOI

      10.5650/jos.ess18051.

    • 査読あり / オープンアクセス
  • [学会発表] アギトアリ毒液成分のペプチドーム及びプロテオーム解析2019

    • 著者名/発表者名
      谷直紀、数馬恒平、大塚幸雄、茂里康、増子恵一、紺野勝弘、稲垣英利
    • 学会等名
      第三回京都生体質量分析研究会シンポジウム
  • [産業財産権] 両生類ネッタイツメガエル皮膚由来機能性ペプチド2018

    • 発明者名
      茂里康、萩原義久、渡部邦彦、井村知弘、原本悦和、伊藤弓弦、浅島誠
    • 権利者名
      茂里康、萩原義久、渡部邦彦、井村知弘、原本悦和、伊藤弓弦、浅島誠
    • 産業財産権種類
      特許
    • 産業財産権番号
      特許第6338899

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公開日: 2019-12-27  

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