研究実績の概要 |
4月~7月にかけての日本の風物詩の一つで、都道府県指定の天然記念物にもなっている、モリアオガエルの泡巣の形成メカニズムを解明するために、モリアオガエルの泡巣を採取した。精子との混入を防ぐために、産卵直前のお腹が大きくなったメスを隔離し、水槽やバケツ等に入れておいた。運良く一匹のモリアオガエルのメスが、自然に産卵し、精子の含まない卵と泡巣の両方のサンプルを獲得できた。泡巣は、マイクロチューブ、試験管、スパーテル(ステンレス)にくっつくが、まとまって剥がせる事ができた。粘張油物やアメ状の物質と違い、とても不思議な素材であった。泡巣サンプルをアミノ酸分析を実施するために、6 M塩酸を加えたが、全く溶解しなかった。加水分解後、薄い褐色の溶液になったが、糖の加水分解と異なり、加熱による褐変現象は見られなかった。おおよそのタンパク量を計算したところ、泡の重量(wetな状態)の約4%ぐらい含まれていた。アミノ酸分析の結果、Asp 139, Thr 74, Ser 65, Glu 124, Gly 100, Ala 44, 1/2Cystine 64, Val 56, Met 16, Ile 66, Leu 79, Tyr 45, Phe 38, Lys 100, His 20, Arg 23, Pro 57(トータルのアミノ酸残基を1000個として換算させた数値, Asn→Asp、Gln→Gluとして検出、Cysは、1/2Cystineとして計算、Trpは塩酸加水分解により分解)であった。さらに泡巣をMALDI-MS分析したところ、4254, 7110, 9741, 14220等のm/zのピークが検出された。LC-MS/MS分析を行ったところ、3610, 12602, 17706, 17823, 19525等のm/zのピークが検出された。またSDS-PAGEに泡巣を供したところ、複数のタンパク質のバンドが検出された。
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