研究課題/領域番号 |
18K05347
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研究機関 | 日本大学 |
研究代表者 |
桑原 正靖 日本大学, 文理学部, 教授 (40334130)
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研究分担者 |
河島 尚志 東京医科大学, 医学部, 主任教授 (70224772)
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研究期間 (年度) |
2018-04-01 – 2021-03-31
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キーワード | Point of Care Testing |
研究実績の概要 |
インフルエンザウイルス等のRNAウイルスは、突然変異を引き起こしやすく頻繁に連続抗原変異を生じる。それが迅速な診断や適切な予防を妨げ、流行が繰り返される主因となっている。そこで、本研究では、新型ウイルスの出現やその年の流行型を正確かつ初期に察知・診断する方法論を確立することを目的として、昨年度に引き続き、独自開発した遺伝子等温簡便検出法であるSATIC(signal amplification by ternary initiation complexes)法の反応系の改良を検討した。SATIC法では、陽性反応でグアニン四重鎖(G4)が生成されるが、これまでG4チオフラビンT(ThT)誘導体で蛍光染色することでシグナル検出を行ってきた。しかし、このような蛍光検出システムでは、反応時間のさらなる短縮や特異度等に限界があり、高感度な蛍光検出器を要することが判明した。そこで、磁気ナノ粒子上でSATIC反応を行い反応効率を高める系を残しつつ、粒子上で生じたG4による磁気ナノ粒子を含む凝集塊の形成でシグナル検出を行うシステムを構築した。用いる溶媒や凝集剤等を種々検討することにより、ウイルス変異を簡便にモニターできるシステムを構築した。尚、凝集剤にはG4に親和性を示すThTの誘導体を新たに設計・合成し、それらを系中に添加することで凝集が引き起こされるものを選択した。また、凝集塊の形成効率は、水溶性ポリマーの添加により顕著化することを見い出した。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
これまで蛍光発光によるシグナル検出では感度や計測時間の短縮などにおける限界が課題であったが、磁気ナノ粒子や水溶性高分子、凝集剤等を用いた相分離系の導入により、課題であった増幅効率の向上による反応時間の短縮や高感度検出における特異性が大幅に向上し克服された点。
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今後の研究の推進方策 |
研究の進捗状況が概ね順調であることから、当初計画に沿って研究を実施していく。次年度は、構築した高感度迅速検出系を用いることで、培養細胞(MDCK細胞等)を用いたin vitroウイルス感染系から得られる全RNAを計測し、ウイルス変異の発生頻度やその過程等を解析する。それらの解析結果に基づき、変異の仕組み等について考察する。
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次年度使用額が生じた理由 |
コロナ禍により、発注手続き等が一部滞ったため。
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