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2018 年度 実施状況報告書

光音響イメージングに必須の近赤外蛍光色素複合化ベタイン型ポリマープローブの創製

研究課題

研究課題/領域番号 18K05353
研究機関京都大学

研究代表者

近藤 輝幸  京都大学, 工学研究科, 教授 (20211914)

研究分担者 山田 久嗣  徳島大学, 大学院社会産業理工学研究部(生物資源産業学域), 講師 (80512764)
研究期間 (年度) 2018-04-01 – 2021-03-31
キーワード光音響イメージング / 高分子プローブ / 近赤外蛍光色素 / ナノ粒子 / ベタイン
研究実績の概要

高い腫瘍集積性を示す双極性ポリマープローブの設計指針を確立することを目的とし、PMPC 側鎖のベタイン構造に着目した。すなわち、PMPC の側鎖ホスホリルコリンの構造を劇的に変更し、カルボキシベタイン(アンモニウムーカルボン酸ベタイン)、およびスルホベタイン(アンモニウムースルホン酸ベタイン)を側鎖に配置した双極性ポリマーPMCBおよびPMSBを合成した。さらに、双極性ポリマーの末端に800RSを導入した3種類の新しい双極性ポリマープローブ(800RS-PMPC、800RS-PMCB、800RS-PMSB)を合成し、側鎖ベタイン構造がマウス体内動態および腫瘍選択性に及ぼす影響について詳細な検討を行った。800RS-PMPC、800RS-PMCB、800RS-PMSBプローブのウシ血清アルブミン(BSA)に対する結合能について、水晶発振子マイクロバランス(QCM)により評価した結果、いずれのプローブのBSAへの吸着量は検出限界以下であった。従って、側鎖カルボキシベタイン構造、および側鎖スルホベタイン構造のいずれもが、アルブミンへの吸着を完全に抑制する効果を有することを示している。
3種のプローブのマウス体内動態について検討した結果、800RS-PMPCおよび800RS-PMCB に比べ、800RS-PMSBは血中から速やかにクリアランスされ、血中滞留性が極めて低いことが明らかになった。さらに、3種のプローブの臓器分布を調べた結果、800RS-PMPCおよび800RS-PMCBでは、肝臓への蓄積は抑制され、腫瘍への選択的な集積(6.5~6.9 ID%/g tissue)が確認された。一方、800RS-PMSB では、主に肝臓(8.0 ID%/g tissue)と脾臓(3.0 ID%/g tissue)に蓄積していることが明らかになった

現在までの達成度 (区分)
現在までの達成度 (区分)

2: おおむね順調に進展している

理由

本研究では、細胞膜脂質の末端構造であるホスホリルコリンの双極性(ベタイン性)に着目し、まず、ベタイン構造のカチオンーアニオン対の組み合わせを大きく変更したカルボキシベタインおよびスルホベタインを側鎖に有する双極性ポリマーPMCBおよびPMSBを合成に成功し、いずれのプローブのBSAへの吸着量は検出限界以下であり、側鎖カルボキシベタイン構造、および側鎖スルホベタイン構造のいずれもが、アルブミンへの吸着を完全に抑制する効果を有することを明らかにした。

今後の研究の推進方策

新たにベタインのカチオンーアニオン間の距離が異なる800RS-PMCB-2を合成し、同程度の粒子サイズを有するスルホベタインポリマープローブ800RS-PMSBについて、マウス体内動態と腫瘍選択性を検討することにより、ベタイン側鎖のカチオンーアニオン対の距離、カチオンーアニオン対の組み合わせ・種類のいずれが高い腫瘍集積性・選択性に重要であるかを明らかにし、双極性ポリマープローブの分子設計指針を明らかにする。

  • 研究成果

    (11件)

すべて 2018

すべて 雑誌論文 (2件) (うち査読あり 2件) 学会発表 (9件) (うち招待講演 2件)

  • [雑誌論文] Tracking the Oxygen Status in the Cell Nucleus with a Hoechst-Tagged Phosphorescent Ruthenium Complex2018

    • 著者名/発表者名
      Hara Daiki、Umehara Yui、Son Aoi、Asahi Wataru、Misu Sotaro、Kurihara Ryohsuke、Kondo Teruyuki、Tanabe Kazuhito
    • 雑誌名

      ChemBioChem

      巻: 19 ページ: 956~962

    • DOI

      10.1002/cbic.201700685

    • 査読あり
  • [雑誌論文] Confinement of Singlet Oxygen Generated from Ruthenium Complex-Based Oxygen Sensor in the Pores of Mesoporous Silica Nanoparticles2018

    • 著者名/発表者名
      Kitajima Natsuko、Umehara Yui、Son Aoi、Kondo Teruyuki、Tanabe Kazuhito
    • 雑誌名

      Bioconjugate Chemistry

      巻: 29 ページ: 4168~4175

    • DOI

      10.1021/acs.bioconjchem.8b00811

    • 査読あり
  • [学会発表] 新規腫瘍特異的MRI 造影剤としての抗HER2 抗体複合化Gd2O3 ナノ粒子の合成とin vitro 機能評価2018

    • 著者名/発表者名
      中嶋理奈、木村祐、孫安生、今井宏彦、松田哲也、近藤輝幸
    • 学会等名
      日本分子イメージング学会 第13回 学会総会・学術集会
  • [学会発表] りん光発光性ルテニウム錯体を固定化したメソ孔シリカナノ粒子プローブの開発と機能評価2018

    • 著者名/発表者名
      北嶋夏子、梅原由衣、孫安生、田邉一仁、近藤輝幸
    • 学会等名
      日本分子イメージング学会 第13回 学会総会・学術集会
  • [学会発表] 腸管免疫細胞へのデリバリーを目指したキトサン修飾リン酸カルシウムナノ粒子の合成2018

    • 著者名/発表者名
      石井拓実、梅原由衣、孫安生、木村祐、近藤輝幸
    • 学会等名
      日本分子イメージング学会 第13回 学会総会・学術集会
  • [学会発表] 双極性ポリマープローブを用いた腫瘍の蛍光イメージング:イオン対がプローブの体内動態・腫瘍選択性に及ぼす影響2018

    • 著者名/発表者名
      小巻尚紀、山田久嗣、木村祐、孫安生、山東信介、青山安宏、近藤輝幸
    • 学会等名
      日本分子イメージング学会 第13回 学会総会・学術集会
  • [学会発表] 医学・医療に貢献する「化学の力」2018

    • 著者名/発表者名
      近藤輝幸
    • 学会等名
      第51回有機金属若手の会夏の学校
    • 招待講演
  • [学会発表] 近赤外蛍光色素を導入した双極性ホスホリルコリンポリマーを用いた活性酸素種の光音響イメージング2018

    • 著者名/発表者名
      松居悠太、山田久嗣、青山安宏、木村祐、近藤輝幸
    • 学会等名
      第8回 CSJ化学フェスタ2018
  • [学会発表] 躍進する化学 ~有機合成を基盤とする生体イメージングプローブの開発~2018

    • 著者名/発表者名
      近藤輝幸
    • 学会等名
      平成30年度 北陸地区講演会と研究発表会
    • 招待講演
  • [学会発表] 近赤外蛍光色素を導入したホスホリルコリンポリマープローブによる腫瘍内活性酸素種の光音響イメージング2018

    • 著者名/発表者名
      松居悠太、小巻尚紀、山田久嗣、青山安宏、木村祐、近藤輝幸
    • 学会等名
      日本化学会第99春季年会
  • [学会発表] 新規ホスホリルセリンポリマーの合成と機能評価2018

    • 著者名/発表者名
      村上知広、山田久嗣、今井宏彦、青山安宏、木村祐、近藤輝幸
    • 学会等名
      日本化学会第99春季年会

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公開日: 2019-12-27  

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