本研究では,血管新生因子であるチミジンホスホリラーゼ(TP)の酵素活性に応答するプローブを開発し,癌細胞の初期進展過程の可視化を行う. 血管新生は細胞の癌化初期から現れる現象であり,血管新生因子を検出することは癌の早期発見に繋がる.TPは核酸代謝酵素であるが,癌細胞が血管新生時に特異的に発現する血管内皮細胞増殖因子でもある.申請者は,蛍光色素を持つヌクレオシドのTPによる合成を可能にした.TPの基質特異性の甘い部位を積極利用することで,TP応答型癌検出プローブを発想したTPの基質であるチミジンの特定部位に蛍光団と消光団の両方を導入したプローブを合成(蛍光共鳴エネルギー移動で消光).2)TPの触媒活性(過リン酸分解反応)に応じて本プローブが分解されて蛍光強度が増加.3) TPが存在する血管新生部分を蛍光という光で可視化し,微小癌の発見や早期発見を目指す.
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