低分子化合物SH-2251がTh2細胞からのIL-5産生を強力に阻害して好酸球浸潤を抑制し、経口投与でマウスOVA誘発気道炎症モデル及び鼻炎の病態を改善することを明らかとし注目を集めているが、その作用メカニズムは未解明であった。研究代表者らは独自開発アフィニティ樹脂AquaFirmusを用い、特異的結合蛋白質として低分子量G蛋白質Rabを同定した。Rab familyは約60種類以上の分子群により構成されているが、これまでアフィニティによる再検を行った結果、Rab1A、Rab1B、Rab5C、Rab8、Rab11B、Rab35、Rab10、Rab12が再現性良く同定されており、Western Blottingにて特異性まで確認した。また、いくつかのタンパクを選択し、マウス及びヒトタンパク発現し、化合物をセンサーチップに固定することにより、ビアコアにて親和性を測定したところ、それぞれRab5C KD値7.7 nM、Rab8A KD 0.28 nM、Rab1B KD 1.3 nM、Rab1A KD 0.42 nMと非常に高い親和性を有することを確認した。Rabのタンパクをoverexpressionしたりknockdownした細胞においてIL-5の産生や化合物の薬効が変化するかを確認したところ、明らかな結論を得ることができなかった。さらに、ターゲット探索やビアコアでの初期の実験において、リンカーを伸ばした部分をなくしても活性が残ることを確認してはいたが、SH-2251から化合物の合成展開を進める中で、構造活性相関ではリンカー付加部分も重要であることが明らかとなってきた。そこで、リンカーをつける部分を新たに探索し、別のツール化合物を用いてターゲット探索を行い、現在新たなターゲットを見い出しつつある。
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