研究課題/領域番号 |
18K05366
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研究機関 | 国立研究開発法人理化学研究所 |
研究代表者 |
近藤 恭光 国立研究開発法人理化学研究所, 環境資源科学研究センター, 専任研究員 (80333342)
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研究期間 (年度) |
2018-04-01 – 2021-03-31
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キーワード | ケミカルアレイ / 膜結合蛋白質 / リガンド / ハイスループットスクリーニング / 膜受容体 |
研究実績の概要 |
ケミカルアレイは、エンドポイントアッセイであるため、解離速度が速い場合や結合が弱い場合など、検出するのが難しい。そのため、会合過程、解離過程をリアルタイムに測定できるSPRイメージング技術を用いた細胞結合アッセイ法の開発に取り組むこととした。化合物の固定化は、ケミカルアレイの固定化と同様に光親和型固定化法により行うこととし、SPRの金チップ上にリンカーを自己組織化単分子膜でコーティングし、リンカー先端のジアジリン基と化合物をUV照射により結合させた。SPRイメージングを行う際に、まず問題になったのが、タンパク質の非特異的吸着である。リンカーをコーティングしたSPRチップ上にタンパク質をアナライトとして流したところ、タンパク質の非特異的吸着が発生した。この非特異的吸着は、金チップ表面とリンカーのコーティング方法に問題があると考えた。金チップ表面の洗浄方法およびリンカーの組成、そのコーティング方法を改良した結果、タンパク質の非特異的吸着を抑制したSPRチップの作製に成功した。そこで、相互作用が知られている化合物を固定化して、その標的タンパク質との結合を見たところ、問題なく相互作用を検出することができた。次に、このように改良したSPRチップを用いて、HEK293T細胞の非特異的吸着が起こるのかどうか測定を行った。その結果、細胞の注入と同時にセンサーグラムの上昇がみられ、バッファに切り替えた後も、センサーグラムが下がることがなく、細胞の非特異的吸着が起こっていることが観察された。また、酸性の溶液でSPRチップの再生を行っても、細胞は吸着した状態を保持していた。 また、細胞結合アッセイに加え、細胞内カルシウムイオン測定法によるスクリーニング条件の確立も行い、今後、受容体の応答を増強する天然化合物の探索を行う予定である。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
今年度計画していた金基板のケミカルアレイと表面プラズモン共鳴法を組み合わせたSPRイメージング法での検出方法の開発を行い、金基板への細胞の吸着に関して実験を行い、問題点を把握することができた。また、細胞結合アッセイに加え、細胞内カルシウムイオン測定法によるスクリーニング条件の確立も行うことができ、概ね順調に進展している。
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今後の研究の推進方策 |
本研究では、膜結合蛋白質発現細胞を用いたリガンド探索手法として、細胞結合アッセイの開発に加え、細胞内カルシウムイオン測定法によるスクリーニングにより、受容体の応答を増強する天然化合物の探索を行う予定である。
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次年度使用額が生じた理由 |
本年度は、細胞結合アッセイの金基板での検討および膜結合蛋白質発現細胞を用いたリガンド探索手法として、細胞内カルシウムイオン測定法によるスクリーニング条件の確立を行い、来年度、受容体の応答を増強する天然化合物のスクリーニングができる目処が立った。次年度では、次年度使用額と翌年度分の助成金と合わせて、スクリーニングを行う。
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