研究課題
ケミカルアレイは、スライドガラス上に化合物を固定化して、標的蛋白質に結合する化合物をハイスループットスクリーニングする技術として開発した。膜結合蛋白質をサンプル対象とする細胞結合アッセイの基礎的な処理条件を確立するために、細胞表面のインテグリンと結合するRGDペプチドを固定化したテストアレイを作製し、細胞がRGDペプチドのスポットに結合する条件を確立した。しかし、細胞の結合量が少なく、インキュベーション時間を長くするとテストアレイ表面全体に細胞が接着するなど問題があることが判明した。ケミカルアレイは、エンドポイントアッセイであるため、解離速度が速い場合や結合が弱い場合など検出するのが難しい。そのため、会合、解離過程をリアルタイムに測定できるSPRイメージング技術を用いた細胞結合アッセイ法の開発にも取り組んだ。SPRイメージングを行う際に、問題になったのが、タンパク質の非特異的吸着である。この非特異的吸着は、金チップ表面とリンカーのコーティング方法に問題があると考え、金チップ表面の洗浄方法、リンカーの組成、そのコーティング方法を改良した。その結果、蛋白質の非特異的吸着を抑制したSPRチップの作製に成功した。そこで、相互作用が知られている化合物を固定化して、その標的タンパク質との結合を見たところ、問題なく相互作用を検出することができた。次に、このように改良したSPRチップを用いて、細胞の非特異的吸着が起こるのかどうか測定を行った結果、細胞の注入と同時にセンサーグラムの上昇がみられ、バッファに切り替えた後も、センサーグラムが下がることがなく、細胞の非特異的吸着が起こっていることが観察された。並行して、細胞結合アッセイに加え、細胞内カルシウムイオン測定法によるスクリーニング条件の確立も行い、受容体の応答を増強する天然化合物の探索を行い、ある植物抽出物に増強効果があることを発見した。
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すべて 雑誌論文 (5件) (うち国際共著 2件、 査読あり 5件、 オープンアクセス 3件) 学会発表 (2件) (うち国際学会 1件)
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