研究課題
アーバスキュラー菌根菌の外生菌糸から浸出される酸性ホスファターゼ活性の検出と土壌中の不可給態リン酸の関係を検討した。菌根区画と菌糸区画に区切られた2コンパートメントポットを用いて、滅菌した黒ボク土にRhizophagus clarusを接種(+M)または接種していない(-M)区を設け、ネギ(Allium fistulosum)を栽培した。播種後40日目から55日目に菌糸区画の土壌溶液を採取し、酸性ホスファターゼ活性を測定した。また、ネギの地上部乾物重及び地上部リン含有率、及び菌根形成率を測定した。さらに、菌糸区画の土壌を採取し、Hedley法により、土壌中のPをResin-P、NaHCO3-Pi、NaHCO3-Po、NaOH-Pi、NaOH-Po、及びHCl-Pに分画し、各P濃度を測定した。根の菌根形成率は-M区及び+Mでそれぞれ46%及び64%であった。地上部乾物重は+M区で-M区より高かった。地上部P吸収量は+M区で-M区より高かった。菌糸区画の土壌中のACP活性は、+M区で-M区より高かった。各画分のリン濃度は、NaHCO3-Po及び NaOH-Poでは+M区で-M区より減少する傾向を示した。
2: おおむね順調に進展している
土壌中のリンをHedley法により分画し、アーバスキュラー菌根菌の外生菌糸から酸性ホスファターゼ活性との関係を検討した。以上より、本研究課題はおおむね順調に進展していると評価される。
菌糸区画における外生菌糸の分布を測定し、外生菌糸の密度が高い土壌中の酸性ホスファターゼ活性を測定する。さらに、外生菌糸に付着した菌糸圏土壌の採取方法を確立する。
実験が予定通り進捗したため、物品の購入が少なくなった。2020年度に開催される学会へ参加するための旅費及び物品の購入費として使用する。
すべて 2019
すべて 雑誌論文 (1件) (うち査読あり 1件) 学会発表 (2件) (うち国際学会 1件)
Mycorrhiza
巻: 29 ページ: 599-605
https://doi.org/10.1007/s00572-019-00923-0