研究課題/領域番号 |
18K05369
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研究機関 | 筑波大学 |
研究代表者 |
長尾 眞希 (浅野眞希) 筑波大学, 生命環境系, 助教 (80453538)
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研究分担者 |
和穎 朗太 国立研究開発法人農業・食品産業技術総合研究機構, 農業環境変動研究センター, 上級研究員 (80456748)
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研究期間 (年度) |
2018-04-01 – 2021-03-31
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キーワード | 土壌団粒 / 土壌有機無機相互作用 |
研究実績の概要 |
本研究は「健全な物質循環を駆動する多様な土壌微生物群集を養う土壌団粒は、どのような構造的特徴を持つのか?」という問いに答えることを目的としている。平成30年度は「土壌団粒の階層スケールと微生物機能の多層性の関係解明」を目指し、火山噴火後の極初期の土壌発達段階にある土壌(未熟土)を用いて、土壌粒子の微小領域観察用非破壊試料作成と、微小土壌団粒内の炭素および窒素の元素分布と化学状態のマッピング(STXM-NEXAFS法)を行った。未熟土壌と、成熟した火山灰土壌(黒ボク土)の微小団粒内の炭素分布を比較した結果、未熟土壌微小団粒中には炭素がスポット的に存在し、炭素官能基組成にばらつきがあったのに対し、黒ボク土微小団粒中では、化学組成も似通った炭素がほぼすべての粒子に分布していた。また、未熟土壌と比較し、黒ボク土ではphenolおよびaliphatic Cの割合が増加する傾向が示された。両土壌に共通して、微小団粒中に保持されている有機物は、AmideおよびCarboxyl Cが主体であることが示された。STXM-NEXAFS法による分析では、窒素濃度が非常に低く、うまく検出できなかったことが課題として残った。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
研究代表者が妊娠したため、実験の実施、放射光施設の利用が当初計画どおりに進捗しなかった。平成30年度の計画にあった、「非破壊土壌団粒の有機物と無機物が形成する立体構造の解析」については、サンプルの選定と手法の検討までを行い、分析が完了していない。平成31年度10月には、研究代表者が復職するため、高エネルギー加速器研究所(KEK)においてX線マイクロトモグラフィーによる土壌団粒の三次元画像の取得を行う。
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今後の研究の推進方策 |
平成31年度は、当初平成30年度に計画していたX線マイクロトモグラフィーによる土壌団粒の三次元画像の取得を行うとともに、土壌団粒の階層スケールと微生物機能の多層性データの取得を行い、土壌団粒階層性のマルチスケール解析に着手する。 進捗の遅れに対しては、研究代表者は復職後、育児があるために長時間にわたる放射光分析を行うことが難しいと予想される。そのため研究協力者と協議し、X線マイクロトモグラフィーはKEKでの依頼分析によることとし、データの解析に時間を割けるよう計画している。
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次年度使用額が生じた理由 |
研究代表者が妊娠したため実験の進捗が遅れたため。H30年度に生じた次年度使用額を利用し、高エネルギー加速器研究所(KEK)におけるX線マイクロトモグラフィーによる土壌団粒の三次元画像の取得を依頼分析にて行う。
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