本研究では、特に種子植物シロイヌナズナとコケ植物ゼニゴケを用いて、リン欠乏時の膜脂質転換に寄与するリン脂質分解酵素ホスファチジン酸ホスホヒドロラーゼ(PAH)に着目して膜脂質転換機構の解析を行った。シロイヌナズナでは、リン欠乏時のリン脂質分解酵素とされていた非特異的ホスホリパーゼC5は、PAHと比較するとその寄与は小さく、他に未知のリン脂質分解酵素が存在していることが明らかになった。また、ゼニゴケのPAHは、生育に必須で寄与する脂質代謝経路もシロイヌナズナと同様であるが、植物体全体のリン脂質分解にはほとんど寄与しておらず、別のリン脂質分解酵素の存在が必須であることが明らかになった。
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