| 研究実績の概要 |
当研究室で単離したオキナワモズクフコイダン分解菌株、Luteolibacter algae H18からフコイダン低分子化酵素を精製し、N末端アミノ酸配列と本菌株のゲノム情報から、既報のどのGHファミリーにも属さないオキナワモズクフコイダン低分子化酵素Fct114を見い出すことができた。さらに、H18とは異なるオキナワモズクフコイダン分解菌株として当研究室で単離したFlavobacterium sp. SW中に、Fct114および、既に報告されている、GH107あるいはGH168に属するフコイダン分解酵素と類似の酵素をコードする遺伝子を検索した。その結果、Fct114に類似したSwfctおよび、GH107に類似したSwfcn2が見い出され、それぞれオキナワモズク、ガゴメコンブフコイダンに対して特異性の高い低分子化活性が認められた。Swfctによる低分子化反応では、還元末端の有意な遊離が認められたが、Swfcn2では還元末端の遊離は検出できず、明らかに分解様式が異なると考えられた。最終年度ではH18株中に、GH107あるいはGH168に属する酵素遺伝子を検索した結果、GH107に似た酵素が１つ（H18fda1）、GH168に似た酵素が2つ（H18fun1, H18fun2）見出され、これらを大腸菌で異種生産させ、酵素活性の検討を行ったところ、H18fda1はガゴメコンブフコイダン、H18fun1にナマコフコイダンの低分子活性が確認された。さらに、Swfcn2とH18fda1を同時添加すると、それぞれ単独添加の場合より、ガゴメコンブフコイダンの低分子化が進行した。
このように、本研究では一種類のフコイダン分解菌株、H18株、SW株が特異性の異なる複数のフコイダン低分子化酵素を持つことを示すことができ、この成果は海洋多糖の分解代謝に新たな視点をもたらすものと考えられた。
|
