トリプトファンの動態は、細胞内NAD+の調節、トリプトフォールやセロトニンなど細胞間伝達物質の合成、ヒトではトリプトファン輸送体MCT10が甲状腺ホルモンの輸送を担うなど、他のアミノ酸にはないユニークさがある。またトリプトファンは希少なアミノ酸であるうえ、ヒトの必須アミノ酸でもある。よって低濃度トリプトファン条件下における取り込みと、それとは逆に基質過剰時の取り込み抑制が特に重要だ。本研究で得られた成果は、酵母のトリプトファン輸送体Tat2が広範な生物種におけるトリプトファン制御のモデルとなることを示すとともに、1タンパク質分子がシグナルの受容と伝達を同時に担うユニークな側面を映し出している。
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