研究実績の概要 |
本研究ではPseudomonas putida KT2440株の染色体にコードされるMvaTホモログTurA、TurB、及びプラスミドpCAR1にコードされるPmrを対象に、アセチル化されることが確認された残基について、アルギニンへの置換(脱アセチル化状態を模したもの)およびグルタミンへの置換(アセチル化状態を模したもの)を行った株を作製し、トランスクリプトーム解析(RNA-Seq解析)およびクロマチン免疫沈降法による網羅的結合箇所の同定(ChIP-Seq解析)を行う計画である。本年度はその前提となる野生型株とturA, turB, pmr各遺伝子破壊株を用いた実験を行った。RNA-Seq解析からは、TurAとTurBが転写制御を行う遺伝子群がpCAR1保持に伴い大きく変化することが明らかとなった。また、pCAR1保持とPmrの発現がTurAとTurBの結合箇所を変化させることが示唆された(Frontiers in Microbiology誌にて発表)。ChIP-Seq解析については、先進ゲノム支援(先進ゲノム解析研究推進プラットフォーム)の支援を受けて実施した。現在、pCAR1保持に伴うMvaTホモログの結合箇所の変化について解析を進めている段階である。 本研究ではアセチル化がMvaTホモログの二量体・多量体形成能に与える影響を評価するため、二量体/多量体化ドメインの機能解析も進めてきた。その一環として、本年度はライデン大学(オランダ)との国際共同研究も実施した。共著での誌上発表を目指し、日本側ではタンパク質の結晶構造解析を進めている。
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