研究課題/領域番号 |
18K05423
|
研究機関 | 国立研究開発法人量子科学技術研究開発機構 |
研究代表者 |
佐藤 勝也 国立研究開発法人量子科学技術研究開発機構, 高崎量子応用研究所 放射線生物応用研究部, 上席研究員(定常) (90370402)
|
研究期間 (年度) |
2018-04-01 – 2021-03-31
|
キーワード | 放射線抵抗性細菌 / デイノコッカス・ラジオデュランス / DNA損傷応答機構 / DNA修復機構 / PprIタンパク質 / 放射線乾燥応答モチーフ / DdrOタンパク質 / DdrAタンパク質 |
研究実績の概要 |
放射線抵抗性細菌のDNA損傷応答誘導因子PprIの機能解析の一環として、デイノコッカス・ラジオデュランスのpprI遺伝子の欠失株を作製した。具体的には、pprI遺伝子プロモーター上流領域(802 bp)、ラジオデュランスのカタラーゼ遺伝子プロモーターによって制御される大腸菌由来のハイグロマイシン耐性遺伝子を連結した遺伝子カセット(1,289 bp)及びpprI遺伝子の下流領域(777 bp)をPCR増幅後に、ライゲーションにより連結したDNA断片を作製した。得られたDNA断片を用いてラジオデュランスの野生株を形質転換し、PprI欠失変異株を作製した。また、プラスミド相補試験に向けて野生型pprI遺伝子発現プラスミドを作製した。具体的には、制限酵素切断部位タグ付きプライマーで野生型pprI遺伝子領域(1,012 bp)及びpprI遺伝子プライマー領域(164 bp)をPCR増幅後に、ライゲーションによりラジオデュランス/大腸菌シャトルベクターpRAD1に連結し、野生型pprI遺伝子発現プラスミドを作製した。得られた発現プラスミドをPprI欠失変異株に導入し、PprI相補株とした。PprI相補株のガンマ線に対する生存率を測定したところ、野生株と同程度に耐性が復帰しており、野生型pprI遺伝子がガンマ線耐性を相補できることを確認した。さらに、紫外線に対しても、ガンマ線と同様に紫外線耐性を相補することを確認できた。ガンマ線及び紫外線に対して、プラスミド相補試験によるPprIの機能解析を行う実験系を構築することができた。
|
現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
当初の計画通り、放射線抵抗性細菌のDNA損傷応答誘導因子PprIの機能解析について、デイノコッカス・ラジオデュランスのPprI欠失変異株及び野生型pprI遺伝子発現プラスミドの作製、ガンマ線に対する生存率を指標としたプラスミド相補試験によるPprIの機能解析を行う実験系を構築しており、おおむね順調に進展している
|
今後の研究の推進方策 |
ランダム変異導入による変異型pprI遺伝子ライブラリーを作製すると共に、得られた変異型pprI遺伝子を用いたプラスミド相補試験を実施することで、DNA損傷応答機構においてPprIタンパク質の機能に重要な部位を明らかにし、デイノコッカス・ラジオデュランスのDNA損傷応答機構の全容解明に向けた研究を推進する。
|
次年度使用額が生じた理由 |
(理由) 調達方法の工夫により、経費が節約できたため。 (使用計画) 次年度使用額(556円)及び当該年度以降分請求額(900,000円)については、実験消耗品等の物品費として600,556円、研究成果の発表等の旅費として150,000円、及び研究論文投稿料等などのその他として、150,000円を使用する予定である。
|