研究課題
基盤研究(C)
植物液胞膜のプロトン輸送性ピロリン酸分解酵素は膜タンパク質であり、ピロリン酸を分解し、プロトンを輸送するイオンポンプである。これまでに、1分子のピロリン酸の加水分解につき、1個のプロトンが能動輸送されるメカニズムを説明する酵素反応サイクルモデルが構築されている。本研究では、このモデルを検証し、より確かなものにするため、未だ立体構造が明らかになっていなかった状態について、X線結晶解析により立体構造を決定した。
生化学
本研究は、植物液胞膜プロトン輸送性ピロリン酸分解酵素の立体構造の解明を通し、イオンポンプ分子の機能の構造的・機構的特徴について、その理解を深めようとするものである。本酵素は研究対象として、次のような特徴をもつ。第一に、本酵素はピロリン酸を基質とする点でユニークなイオンポンプ分子である。第二に、酵素反応サイクル全体をカバーする複数の基本状態の立体構造を得られる可能性が高い。本研究を通して、イオンポンプ分子の構造生物学研究に新たな知見を提供できるものと考えられる。