研究課題
細胞の発生や機能発現のためには適切な遺伝子発現制御が不可欠であり、エピジェネティクスに加えてRNAの転写後修飾(エピトランスクリプトミクス)が重要な要素として注目されている。神経細胞は複雑なネットワークを形成して様々な入力に応答するうえで遺伝子発現を時空間的に制御しなくてはならず、RNA修飾による局所的翻訳の調節機構の研究が進められている。mRNAに最も豊富に存在するN6-メチルアデノシン(m6A)は可逆的な修飾で、これまでにm6Aによる翻訳調節についての報告があるが、神経突起にはメチル化酵素・脱メチル化酵素の両方ともが存在している。そこで脱メチル化反応が局所的翻訳へ寄与しているのかどうかを、阻害剤を利用して解析することを計画した。 mRNAに対するm6A脱メチル化酵素は2種類存在するため、基質特異性が明確で、かつ細胞透過性のある阻害剤の取得が本研究には必須である。これまで化合物ライブラリーをスクリーニングした結果、そのままで高い特異性を示す化合物は得られなかった。またシミュレーションも構造情報の不足などで化合物構造改良への判断が難しい部分があった。そこでFTOあるいはALKBH5いずれかでも阻害する活性を検出した化合物の中からいくつかを選択し、細胞増殖への影響を検討した。海馬初代培養細胞はDMSO濃度に敏感に反応するため、脳腫瘍由来の培養細胞株を使用した。今後、選択した化合物による細胞内m6Aレベルの変化の評価を完了させ、次のステップの判断をする必要がある
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bioRxiv
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10.1101/2020.11.14.382556