研究実績の概要 |
2020年度から2021年度の研究において、エンド-β-N-アセチルグルコサミニダーゼPM(エンドPM)の3つのアイソザイムのうち、エンドPMαの結晶を用いて、つくば高エネルギー加速器研究機構においてX線結晶回析測定を行い、立体構造を明らかにした。そして、エンドPMαは5つの異なるドメインI~Vから構成されていることを明らかにし、それぞれの特徴を解析した。 2022年度は、エンドPMαの結晶状態の立体構造と溶液中の構造の差異を検証するため、低角X線散乱法(SAXS法)によって溶液中のエンドHSの立体構造を解析した。つくば高エネルギー加速器研究機構において、ゲルろ過クロマトグラフィーカラムを用いたSAXS法(SEC-SAXS)によって、以下の条件で測定を行った。測定条件:Light source, PF BL-10C; Detector, PILATUS3 2M; Wavelength, 1.0オングストローム; Exposure time, 20 sec/image; Camera length (Vacuum chamber), 2 m; Buffer solution,10 mM Na, K-PB pH 6.5。 得られた散乱曲線のデータをもとに溶液中のエンドPMαの立体構造を構築したところ、エンドPMαのRgは 33.5 +/- 1.1 オングストローム、RMAX値は129オングストロームとなった。また、ダミー分子で立体構築したところ、極めて非対称性の高い構造をとることが明らかとなった。さらに、得られた実験散乱曲線と結晶構造から計算される理論曲線とを比較したところ、両曲線の違いを示すχ2 値が1.28となり、大きく異なっていた。このためエンドPMαの立体構造は結晶状態と溶液状態ではことなっていることが示唆された。
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