研究課題/領域番号 |
18K05446
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研究機関 | 近畿大学 |
研究代表者 |
吉田 浩二 近畿大学, 生物理工学部, 教授 (60230736)
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研究分担者 |
萩原 智 近畿大学, 医学部, 講師 (40460852)
杉岡 孝二 近畿大学, 大学病院, 准教授 (50399119)
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研究期間 (年度) |
2018-04-01 – 2021-03-31
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キーワード | 線維化 / 上皮間葉転換 / エピガロカテキンガレート |
研究実績の概要 |
上皮系の細胞が上皮間葉転換を起こすと、コラーゲンをはじめとする細胞外マトリックスの産生が盛んとなり、組織線維化を促進する。また、癌の転移の開始には浸潤が必要であり、浸潤は癌細胞が上皮間葉転換を起こすことにより惹起される。癌細胞の上皮間葉転換に及ぼす4種のカテキン類(エピカテキン(EC)、エピカテキンガレート(ECG)、エピガロカテキン(EG)、エピガロカテキンガレート(EGCG))の効果について検討した。 ヒト肺癌細胞(A549)にTGF-βを作用させ上皮間葉転換を誘導し、細胞外マトリックスの発現に及ぼす影響を見たところ、間葉系細胞マーカーの発現抑制に対しては、EGCGが最も強い効果が見られた。 癌細胞増殖および癌転移に関わるマトリックスメタロプロテアーゼ(MMP)にカテキン類4種が及ぼす作用について解析を行ったところ、細胞増殖抑制にはEGCG、遊走能阻害にはECG、MMP2発現抑制にはEGCおよびEGCGが効果を示した。 肺線維症につながる間質性肺炎に対する治療薬として、ステロイド剤が使われていたことがあったが、近年はその使用は推奨されていない。しかし、ステロイド剤(デキサメタゾン)が新型コロナウイルス感染症患者の死亡率を減少させるという報告がある。新型コロナウイルス感染による肺炎は間質性肺炎である。デキサメタゾンが、肺胞上皮細胞の上皮間葉転換、線維化に及ぼす影響について検討した。A549細胞にTGF-βを単独で作用させた際よりも、デキサメタゾンを併用したときの方が上皮間葉転換の指標のひとつであるフィブロネクチンの発現が上昇した。また、TGF-β単独で誘導された上皮間葉転換だけではなく、TGF-βとデキサメタゾンを同時に作用させて誘導される上皮間葉転換に対しても、EGCGは抑制効果が見られた。
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