研究課題
本研究では、特異な多環性骨格を効率的に合成し、生理活性の詳細が明らかにされていない希少天然有機化合物の収束的な化学合成と系統的な構造活性相関研究を目的としている。具体的には、植物寄生性農害虫であるジャガイモシスト線虫の孵化機構において重要な因子であり、高度に歪んだシクロブタン骨格を含むソラノエクレピンAの合成研究を行う。この研究は、申請者が独自に確立した共役付加によるによる4-exo-trig型ラジカル環化反応および橋頭位のラジカルによる炭素炭素結合反応を機軸として、高度に多官能基化されたシクロブタンを含む特異な架橋型多環性骨格の効率的な合成法を確立する。前年度、合成終盤でNozaki-Hiyama-Kishi反応によって両セグメントの連結および七員環(C環)の構築法を検討するため、四環性モデル化合物の合成を試みた。検討の結果、左セグメントとアルケニルトリフラートを用いることでNozaki-Hiyama-Kishi反応は速やかに進行し、カップリング体が良好な収率で得られた。さらに、七員環(C環)の構築は、アミノ酸を用いた分子内アルドール反応によって達成し、望む七員環の構築に成功した。そこで、令和二年度では、合成終盤でNozaki-Hiyama-Kishi反応によって両セグメントの連結したのち、七員環(C環)の構築法を詳細に検討した。種々のアミノ酸や溶媒を用いた分子内アルドール反応を検討した結果、プロトン性溶媒を用いると反応は短時間で進行し、収率の改善にも成功した。また、予め8位への側鎖導入された前駆体合成も検討した結果、目的とする反応が速やかに進行し、8位への側鎖の導入にも成功した。
すべて 2021 2020
すべて 雑誌論文 (3件) (うち査読あり 3件) 学会発表 (3件)
Sci. Adv.
巻: 7 ページ: eabd9135
10.1126/sciadv.abd9135
Mur. Drug.
巻: 19 ページ: 40-49
10.3390/md19010040
Angew. Chem. Int. Ed.
巻: 59 ページ: 17996-18002
10.1002/anie.202007280