研究課題
本年度も多アシル化アントシアニン合成法の確立を目指して合成研究を継続した。昨年度まで行ってきた合成ルートを基に、デルフィニジン合成の共通中間体であるミリセチン誘導体の合成をブラッシュアップしながら行った。これにより得られたミリセチン誘導体の3位、5位、7位への配糖化反応の検討を行った。アセトブロモグルコースと相関移動触媒を用いたグルコシル化反応及びフッ化糖やイミデート糖とルイス酸を組み合わせたグルコシル化反応を検討した。水素結合がある3位へのグルコシル化には、相関移動触媒を用いたグルコシル化反応が適していることが分かった。また、これらのフラボノールのグルコシル化反応では、フラボノールの溶解度が反応の進行に大きく影響を与えることも分かった。強固な水素結合がある5位へのグルコシル化は、予想通りに最も反応性が低かった。グルコースの6位へケイ皮酸誘導体のエステル化反応を行い、アシル基を有する糖のビルディングブロックの合成も行った。アントシアニンへの変換反応の情報を得るために、カテキンとナリンゲニンから誘導して合成した配糖体で、フラボノイド骨格の4位の酸化反応の反応性とアントシアニンへの変換を検討した。青色花色発現の質量分析を用いた研究として、天然から抽出精製して得た種々のアントシアニンのESI-MS分析を行った。また、アントシアニンとフラボンの両方に天然型のD-グルコースを持つツユクサの青色マグネシウム錯体であるコンメリニンのESI-MS分析を行い、この青色超分子金属錯体色素が現有の質量分析装置で検出可能であることを確認した。鉄やアルミニウムが関与する青色金属錯体色素のESI-MS分析も行った。
3: やや遅れている
グルコシル化反応の位置選択性と収率向上が問題となっているため。
フェノール性ヒドロキシル基にフォーカスしたグルコシル化反応を検討する。また、アシル化反応を検討することで、アシル化糖のビルディングブロックのスケールアップを行う。アントシアニンへの変換反応も引き続き検討する。
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