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2018 年度 実施状況報告書

シストセンチュウ孵化促進物質の生合成の解明

研究課題

研究課題/領域番号 18K05459
研究機関神戸大学

研究代表者

水谷 正治  神戸大学, 農学研究科, 准教授 (60303898)

研究期間 (年度) 2018-04-01 – 2021-03-31
キーワードシストセンチュウ / ジャガイモ / トマト / 毛状根
研究実績の概要

本年度は、ジャガイモ根滲出液中に含まれるGlobodera rostochiensis (以下Gr)に対する孵化促進物質 (Hatching factor, 以下HF) (以下Gr-HF) とG. pallida (以下Gp)に対するHF (以下Gp-HF)について、Solanoeclepin Aとの比較解析を行うとともに、各HFの精製法を確立することを目的とした。ジャガイモ(Solanum tuberosum)のメークインを用いて毛状根を作成し実験材料として使用した。毛状根は無菌で扱えるだけでなく、生育が早く安定しているという利便性がある。毛状根培養液の孵化活性の評価は、GrやGpの卵に適宜希釈した培養液サンプルを投与するバイオアッセイ法で行った。毛状根を振とう培養した培養液を毛状根滲出液として孵化活性評価試験に供したところ、希釈した毛状根培養液はGrとGpの両方に80%以上の高孵化活性を示した。無菌毛状根の培養液中に高い孵化活性を検出できたことから、HFはジャガイモの根から分泌される物質であることが確認され、毛状根はHFを抽出精製する実験系として有効であることが明らかとなった。次に、毛状根から分泌されるHFを抽出精製するために、以下の実験を行った。
(1)毛状根の培養液とSEA合成品の物理的性質(pHおよび温度安定性)を比較解析した。培養液は0.1N塩酸中で80℃1時間加熱後でも活性を維持していたことから、HFがタンパク質などではないということが推定された。また、培養液中のHFはSEAと類似した物性であることが明らかとなった。
(2)有機溶媒を用いた液液抽出によりSEA標品と毛状根培養液を抽出した。SEAは酢酸エチルで抽出されたが、培養液中のGr-HFとGp-HFは水層に留まったため、これらが親水性の高い性質を持つことが明らかとなった。

現在までの達成度 (区分)
現在までの達成度 (区分)

2: おおむね順調に進展している

理由

①ジャガイモ毛状根培養液中にはSolanoeclepin Aとは異なる孵化促進物質が存在することが明らかとなった。
②Grに対するHFとGpに対するHFはそれぞれ異なる物質であると推定された。
③HFを抽出精製するための有用な抽出精製条件を確立することができた。
④ナス属植物により生産されるステロイドグリコアルカロイドが弱いHF活性を示すことが明らかとなった。

今後の研究の推進方策

ジャガイモ水耕液中のHFの分画精製:北海道種苗管理センターで水耕栽培しているジャガイモの水耕液(8万リットル)から合成樹脂3によりHFを大量に吸着回収する。この樹脂からHF画分を脱着濃縮し、固相カラムおよびHPLCにより抽出・精製する。精製法はH30年度に確立した方法を参考にして進める。
トマト毛状根培養液中のHFの分画精製:トマト毛状根培養液を合成樹脂およびイオン交換カラムなどで吸着分画することでHFの分画精製を進める。
HF生合成遺伝子のゲノム編集:トマト毛状根 から分泌されるHFの生合成に関わると推定される候補遺伝子をゲノム編集により遺伝子破壊し、HF活性に影響を与える候補遺伝子を同定する。

次年度使用額が生じた理由

HFの大量精製に必要となる分取カラムをH30年度には購入せず、H31年度に最適なカラムを選定して購入する予定である。
また、H30年度はインフォマティクスにより候補遺伝子を行い、H31年度には候補遺伝子の解析を進めるために様々な分子生物学試薬を購入する予定である。

  • 研究成果

    (1件)

すべて 2018

すべて 学会発表 (1件)

  • [学会発表] グリコアルカロイドのジャガイモシストセンチュウ孵化促進活性の解析2018

    • 著者名/発表者名
      清水宏祐、増田 裕貴、李 榮宰、秋山遼太、串田 篤彦、奈良部 孝、谷野 圭持、松木田聖士、井上勉、杉本 幸裕、水谷 正治
    • 学会等名
      植物化学調節学会

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公開日: 2019-12-27  

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