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2019 年度 実施状況報告書

植物二次代謝生合成におけるユニークなラクトン化酵素の分子多様性の解明

研究課題

研究課題/領域番号 18K05463
研究機関富山県立大学

研究代表者

野村 泰治  富山県立大学, 工学部, 准教授 (40570924)

研究分担者 加藤 康夫  富山県立大学, 工学部, 教授 (20254237)
研究期間 (年度) 2018-04-01 – 2021-03-31
キーワードチューリッポシド / チューリッパリン / チューリッポシド変換酵素 / 二次代謝 / 生合成 / 酵素 / 分子進化
研究実績の概要

本研究では、チューリップの主要二次代謝産物として知られるチューリッポシド(Pos)/チューリッパリン(Pa)類が、単子葉植物のユリ科(チューリップ属を含む3属)と近縁のユリズイセン科(アルストロメリア属を含む2属)だけでなく、それらとは遺伝的に遠縁の双子葉植物であるバラ科(シモツケ属のみ)にも存在するという事実に着目し、特にPos類からPa類への変換反応を触媒する「Pos変換酵素」を対象としてユリ科、ユリズイセン科、バラ科の間でその一次配列および酵素機能の比較解析を行い、科を横断して存在する同一二次代謝産物の生合成酵素の進化過程ならびに分子多様性を明らかにすることを目的としている。
まず、昨年度に引き続き、チューリップ属内におけるPos変換酵素の分子多様性を明らかにするため、これまでに同酵素が同定されているチューリップ栽培品種とは同属異種植物である原種チューリップにおけるPos変換酵素の同定に取り組んだ。昨年度行ったPosB変換酵素の精製に続き、今年度はPosA変換酵素の精製と機能解析を行った。その結果、原種のPosA変換酵素は栽培品種の酵素と比較して特に酵素活性に違いがみられたものの、酵素ファミリーとしては栽培品種の酵素と同じであることが示唆された。
並行して、バラ科植物であるユキヤナギにおけるPos変換酵素の同定に取り組んだ。昨年度までに確立した酵素の抽出および反応条件に加えて、今年度は酵素精製条件の検討を行った。当初、抽出後数日以内に目的酵素が失活するという問題に直面したが、種々の条件検討の結果、その安定化に成功した。

現在までの達成度 (区分)
現在までの達成度 (区分)

2: おおむね順調に進展している

理由

チューリップ栽培品種とは同属異種植物である原種チューリップからのPosA変換酵素とPosB変換酵素の精製と性状解析を終えており、現在、酵素遺伝子の同定と機能解析に着手している。ユキヤナギを対象としたPos変換酵素の探索、同定についても、目的酵素を安定に維持しながら精製する条件を見いだすことができた。現在、酵素の本精製に着手している。以上のことから、研究2年目までの進捗としては順調であると判断できる。

今後の研究の推進方策

原種チューリップから、PosAおよびPosB変換酵素の酵素遺伝子の同定と機能解析を進める。特に、酵素学的性質のうち栽培品種の酵素とは大きく異なる性質に焦点を当て、その原因解明を行う。ユキヤナギのPos変換酵素については、酵素精製と酵素遺伝子の同定を進める。2年目までに着手できなかったアルストロメリアにおけるPos変換酵素の同定に向け、酵素精製に向けた諸条件の検討を開始する。

次年度使用額が生じた理由

タンパク質配列の委託解析について、2件の発注を予定していたが、1件の発注に留まった。残る1件は代表者が有する他の研究費から充当したためである。次年度は、タンパク質配列の委託解析およびRNA-seqの委託解析を少なくとも1件ずつ発注する計画である。また、それ以外については、酵素精製用カラムをはじめとした生化学関連試薬、遺伝子解析に使用する分子生物学関連試薬、ならびにHPLC分析関連の物品の購入に充てる計画である。

  • 研究成果

    (9件)

すべて 2020 2019

すべて 雑誌論文 (2件) (うち査読あり 2件) 学会発表 (7件)

  • [雑誌論文] Isolation and identification of tuliposides D and F from tulip cultivars2020

    • 著者名/発表者名
      Taiji Nomura, Shinjiro Ogita, Yasuo Kato
    • 雑誌名

      Zeitschrift fur Naturforschung C

      巻: 75 ページ: 7-12

    • DOI

      10.1515/znc-2019-0123

    • 査読あり
  • [雑誌論文] Identification of tuliposide G, a novel glucoside ester-type tuliposide, and its distribution in tulip2020

    • 著者名/発表者名
      Taiji Nomura, Yasuo Kato
    • 雑誌名

      Zeitschrift fur Naturforschung C

      巻: 75 ページ: 75-86

    • DOI

      10.1515/znc-2019-0176

    • 査読あり
  • [学会発表] 植物二次代謝酵素の機能分化:加水分解反応を触媒しないカルボキシルエステラーゼ「チューリッポシド変換酵素」の発見と応用2020

    • 著者名/発表者名
      野村泰治
    • 学会等名
      京都大学生存圏研究所特別講義(植物二次代謝)
  • [学会発表] チューリップ原種からのチューリッポシドA変換酵素の精製および性状解析2020

    • 著者名/発表者名
      野村泰治、上田真子、北岡直樹、加藤康夫
    • 学会等名
      日本農芸化学会2020年度大会
  • [学会発表] 巨大植物二次代謝酵素の発見:チューリップ原種からのチューリッポシドB変換酵素の精製および性状解析2020

    • 著者名/発表者名
      上田真子、野村泰治、北岡直樹、加藤康夫
    • 学会等名
      日本農芸化学会2020年度大会
  • [学会発表] チューリッポシド変換酵素の基質認識におけるアルコール部位の影響2019

    • 著者名/発表者名
      加藤康夫、二永貴、北岡直樹、野村泰治
    • 学会等名
      第21回生体触媒化学シンポジウム
  • [学会発表] Substrate specificity of tuliposide-converting enzyme, a unique non-ester-hydrolyzing carboxylesterase in tulip: effects of the alcohol moiety of substrate on the enzyme activity2019

    • 著者名/発表者名
      Yasuo Kato, Taiji Nomura
    • 学会等名
      1st Japan-Germany-Switzerland Workshop for Enzyme Technology and Bioprocess Development
  • [学会発表] 巨大植物二次代謝酵素の発見:チューリップ原種からのチューリッポシドB変換酵素の精製および性状解析2019

    • 著者名/発表者名
      上田真子、野村泰治、北岡直樹、加藤康夫
    • 学会等名
      日本農芸化学会 関西・中部支部2019年度合同神戸大会
  • [学会発表] タケ懸濁細胞における転写調節剤誘導性二次代謝産物の単離、構造解析2019

    • 著者名/発表者名
      米田朱里、野村泰治、北岡直樹、荻田信二郎、加藤康夫
    • 学会等名
      日本農芸化学会 関西・中部支部2019年度合同神戸大会

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公開日: 2021-01-27  

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