研究課題/領域番号 |
18K05464
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研究機関 | 北里大学 |
研究代表者 |
小山 信裕 北里大学, 薬学部, 講師 (60439156)
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研究期間 (年度) |
2018-04-01 – 2022-03-31
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キーワード | 抗酸菌 / MAC / 微生物由来化合物 / ケミカルバイオロジー / 標的分子 |
研究実績の概要 |
本研究では、医薬産業において創薬リードとして大きな実績を残してきた微生物由来の化合物に焦点を当て、治療期間の短縮化を実現できる薬効を有し、既存薬の治療効果よりも優れる、薬剤耐性菌にも有効な抗酸菌症の新規治療薬の創製を目的に、これまでの治療上の問題点を克服することを目指す。先行研究により発見したリード候補化合物を基軸に、生化学的、分子遺伝学的な手法を駆使して、病原微生物を用いて、化合物の活性発現に重要な責任分子(標的分子)を同定するなどケミカルバイオロジー研究を中心に、創薬の基盤研究を展開する。 1) 探索研究:アブセッサス症の原因菌を用いた評価系を構築し、天然物ライブラリ(約 400 サンプル)の中から、強力な抗菌活性を示す化合物(数種)を見出した。とくに、lariatin A は、M. abscessus を用いたカイコ感染モデルにおいても、β-ラクタム薬イミペネムと同程度の延命作用を示すことが明らかとなった。このほか、約 12,000 サンプルの微生物培養抽出液の探索からは、抗菌選択性や MS ネットワーク手法を駆使して、新規物質の生産が期待される数種の候補株を得た。 2) ケミカルバイオロジー研究:Time kill curve 法を用いて、リード候補化合物(1 種)の作用様式を調べた結果、殺菌的な作用を示すこと、またその作用持続時間が長いことを明らかとした。また、化合物の耐性株のゲノム解析によりターゲット分子をコードする遺伝子領域を解明することを目的に、化合物に対して 16 倍以上の耐性度を示す M. avium の自然変異株を取得した。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
当該年度の計画に従って順調に進んでいる。とくに、M. abscessus 症に関する探索研究については、新たに評価系を構築し、数種の候補株を選別することができ大きく進展した。
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今後の研究の推進方策 |
1) 選別した候補株の培養液中からの活性物質の単離精製及び構造決定を行う。 2) M .tuberculosis に対する評価系を構築し、スクリーニングを進める。 3) M. avium の自然変異株のゲノムを解析し、野生株との比較から変異箇所を特定する。 4) 病原微生物のタンパク抽出液を材料に結合タンパク質の解析を行う。
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次年度使用額が生じた理由 |
(理由) 当初計画していたよりも物品費が少なくなり差額が生じたため。 (使用計画) 今年度は、物品費を増額し、研究試薬の購入などに充てがう計画である。
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