研究課題/領域番号 |
18K05473
|
研究機関 | 東京農工大学 |
研究代表者 |
服部 誠 東京農工大学, (連合)農学研究科(研究院), 教授 (40221501)
|
研究分担者 |
好田 正 東京農工大学, (連合)農学研究科(研究院), 准教授 (20302911)
|
研究期間 (年度) |
2018-04-01 – 2021-03-31
|
キーワード | protein conjugation / functional improvements / β-lactoglobulin |
研究実績の概要 |
【目的】本研究においては、牛乳中の主要乳清タンパク質であるβ-ラクトグロブリン (β-LG) をターゲットとして用い、低抗原性・免疫原性であるペクチン(PEC)、ポリリシン(PL)、デキストランを結合し、実際の食品に応用可能な可食性のバイオハイブリッドを創出することにより、乳化性などの機能特性の向上を達成するとともに、低アレルゲン化を達成し、これら多面的な機能改変の根源となるバイオハイブリッド分子の構造機能相関を明らかにすることを目的としている。 【方法・結果】1) メイラード反応を用いた可食性β-LG-PECハイブリッドの創出:精製β-LGとペクチン(PEC)を、β-LG-PEC(モル比)=1:1~1:10で、50~60℃でメイラード反応させ、可食性β-LG-PECハイブリッドを得た。精製は陰イオン交換クロマトグラフィーにより行った。2)トランスグルタミナーゼの反応を用いた可食性β-LG-ポリリシンハイブリッドの創出:トランスグルタミナーゼ反応のアシル受容体として、ε-ポリリシン(PL, 分子量12,000)を用い、β-LGをアシル供与体として、反応を行い、可食性β-LG-PLハイブリッドを得た。反応条件を検討し、結合比率の異なるハイブリッドを調製を試みた。ハイブリッドの精製は、塩析、陽イオン交換クロマトグラフィーにより行った。3)ハイブリッドの構造の解析:ハイブリッド中のタンパク質部分の全体的な構造についての知見を得るため、CDスペクトル、自然蛍光の測定による解析を行った。また、タンパク質の局所的な微細高次構造について、モノクローナル抗体(mAb)を用いた酵素免疫測定法により解析した。ハイブリッドのレチノール結合能については、蛍光滴定法により調べた。以上の構造解析の結果、β-LGのネイティブ構造をほぼ維持した状態でバイオハイブリッド創出できたことを明らかにした。
|
現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
本研究においては、β-ラクトグロブリンにペクチンやポリリシンを結合させる反応条件を確立することが第一段階となる。本年度はこの条件検討に研究の時間を割いた。その結果、当初予定していたよりも時間がかかった。
|
今後の研究の推進方策 |
今後の推進の方策としては、得られたバイオハイブリッドの機能の解析を進める。食品の2次機能として乳化性を解析し、3次機能の免疫学的性質(抗原性・免疫原性)を解析する。
|