研究課題/領域番号 |
18K05475
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研究機関 | 石川県立大学 |
研究代表者 |
東村 泰希 石川県立大学, 生物資源環境学部, 准教授 (70628924)
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研究期間 (年度) |
2018-04-01 – 2021-03-31
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キーワード | 大腸がん / 炎症性腸疾患 / ゴブレット細胞 / リンパ球 / ムチン |
研究実績の概要 |
大腸粘液層の脆弱化は大腸がん発症に関与することから、粘液層を強固に保つことが大腸がん予防において肝要である。本課題では、申請者がこれまでに見出したBach1欠損に伴う大腸粘液分泌の亢進という現象を基盤とし、大腸での粘液分泌機構におけるBach1の機能を明らかにし、Bach1を粘液分泌の活性化を起点とした大腸がん予防における新たな分子標的として位置づけることを目的とした。今年度はBach1欠損による大腸粘液分泌の亢進に関する機序解明を目指し、Bach1欠損マウスおよび各種培養細胞を用いて解析をおこなった。 前年度の研究成果において、Bach1欠損に伴う粘液産生の亢進は大腸において最も顕在化することが明らかとなった。得られた染色像を解析した結果、粘液産生を担うゴブレット細胞の数が有意に増加するのみならず、一細胞あたりにおける粘液を内包した分泌顆粒の面積が増大することを見出した。一方で、糞便中のムチン含量を測定した結果、Bach1欠損マウスの便中ムチン含量は野生型マウスと同程度であった。これらの結果より、①Bach1欠損に伴うゴブレット細胞数の増加、②Bach1欠損に伴う粘液分泌経路の異常、という2つの事象が同時に発生している可能性が示唆された。①に関しては、免疫学的アプローチを駆使し、Bach1欠損マウスの大腸粘膜固有層では2型自然リンパ球の割合が有意に増加することを見出し、2型自然リンパ球から産生されるIL-13がゴブレット細胞数の増加に寄与する可能性が示唆された。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
Bach1欠損に伴う大腸粘液分泌に関する作用機序の解析が順調に進行しているため。
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今後の研究の推進方策 |
前年度の研究成果より、Bach1遺伝子が欠損することで粘液分泌経路に異常をきたしている可能性が示唆された。令和2年度においては、当該可能性の検証について、マウスを用いたin vivo試験およびムチン産生能を有するヒト大腸がん細胞株であるLS174T細胞を用いたin vitro試験を施行する予定である。in vivo試験としては、ウッシングチャンバー法や反転腸管法を用いた腸管透過性の評価ならびに、摘出した腸管を用いたex vivo腸管環流法によるムチン分泌能の評価を施行する予定である。また、in vitro試験としては、siRNAを用いたBach1 mRNAのノックダウンや、リンパ球との共培養等を予定している。 さらに令和元年度に引き続いて、Bach1欠損に伴うゴブレット細胞増殖における分子機序の解析についても、フローサイトメーター等の免疫学的手法を用いた実施する予定である。
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次年度使用額が生じた理由 |
(理由) 当初の予定よりもスムーズに研究成果が得られたため。 (使用計画) 令和2年度に実施予定の研究に関して、当該繰越金を充填することで研究成果の進展を計る。
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