研究課題/領域番号 |
18K05478
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研究機関 | 獨協医科大学 |
研究代表者 |
橋口 昌章 獨協医科大学, 医学部, 准教授 (20372443)
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研究期間 (年度) |
2018-04-01 – 2021-03-31
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キーワード | IgA / パイエル板 / IL-21 |
研究実績の概要 |
IgA抗体産生は粘膜免疫応答の特徴であるが、その親和性については不明な点が多い。申請者は、抗体産生を亢進するIL-21が小腸に点在しIgA抗体の誘導部位と考えられるパイエル板において高発現であることを見出しており、本研究では、そのパイエル板に注目し、産生されるIL-21がIgA産生に与える影響を解析することを目的とした。 IL-21産生パイエル板濾胞ヘルパーT細胞 (Tfh) の機能を直接的に解析するために、IL-21産生細胞を、GFPより蛍光強度の高い誘導体Venusでマーキングすることを目的とした。これまでに、IL-21プロモーター制御下でVenusを発現するIL-21-Venusノックインマウスを樹立のためのES細胞を樹立したが、このES細胞では、生殖系細胞への遺伝子伝達がおこなわれず、マウスの樹立とならなかった。そこで、異なるES細胞で組み換え細胞を樹立した。今後、これをもちいてマウスの樹立を行う。 樹立後、交配してホモ化することでIL-21欠損マウスを樹立する予定であるが、樹立がうまくいかない場合の代替策として抗IL-21R抗体および抗IL-21抗体を樹立した。そこで、前年度に構築したIgA産生誘導評価系を用いて、IL-21Rからのシグナルの影響を検討した。その結果、抗原を経口投与かつIL-21R抗体投与したTCRトランスジェニックマウスにおいて、小腸内投与抗原特異的IgA産生が抑えられ、IL-21が経口抗原誘導性のIgA産生にIL-21が重要であることが示された。また、野生型マウスのパイエル板において、IL-21R抗体投与群では胚中心B細胞の割合が低いだけでなく、IgA陽性B細胞の割合も低下していた。今後、誘導されたIgA B細胞の親和性などIL-21の影響を詳細に評価する予定である。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
当初の計画通り、IL-21プロモーター制御下でVenusを発現するIL-21-VenusノックインマウスのためのES細胞の樹立までは予定通りであったが、実験動物施設での遺伝子改変動物作製の中断のため、マーキングのためのノックインマウス樹立が未達成となっている。
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今後の研究の推進方策 |
樹立したES細胞をもちいてノックインマウスを樹立する.その後,樹立したマウスをさらに交配し、IL-21ノックアウトマウスを樹立する。並行して、樹立したマウスをヘテロとして用い、IL-21産生細胞の同定および表現型の解析を行う。ただし、遺伝子改変動物作製の再開時期が不透明なこともあり、遺伝子改変動物に依存しない系として、樹立したIL-21およびIL-21Rに対するモノクローナル抗体をもちいて、これまでに条件を設定した、食物抗原特異的IgA産生誘導評価系において、IL-21のIgAへの親和性などへ与える影響など、詳細に評価する。
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次年度使用額が生じた理由 |
マウス樹立が中断となったため、ES細胞培養のための培地、試薬分を持ち越した。また、数点がキャンペーン価格で購入できたため、差額分を次年度使用とした。 マウス飼育費、および、試薬・プラスチック器具等、消耗品として使用する。
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